AI

2024.10.27 08:00

沈静化するAIブーム、導入企業が突き当たる「現実の壁」

Getty Images

アンデラのマチは、投資に見合う利益が実際に生まれている企業の例として、「これまで主に人力で行われていたタスクを自動化することでコスト削減に成功した企業。他社と一線を画する製品によってトップレベルの成長を遂げた企業。AIの出力のうち正確なものは全体の8割にすぎないことを前提にソリューションを見いだした企業」などの例を挙げた。「結局は、企業が時間を費やして、ある程度のリスクを取る意思があるかどうか、という点に集約される」のだとマチは述べる。
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デロイトのローワンによれば、大半の企業は、AIを導入する際に「まずは既存プロセスの改善やコスト削減など、戦術的なメリットを得ようとする」という。「こうした企業は本質的に、低いところにある、手に入れやすい果実に狙いを定め、AIに関する知識や経験、信用を得ながら、手っ取り早く価値を得ようとしている。だが今、各社は、こうして得た価値を大幅に増加させるために、規模の拡大を目指している。こうなると、これまでとはまた違った課題が出てくる」

効果を直接的に把握できる生産性の領域を超え、より野心的な使用事例に関して、投資に対する利益を測定するには、「既存ソリューションと比較したメリットを明確に示す」ために、さらなる努力が必要になるとウムラウフは指摘する。既に確立されたソリューションは、「よく練り上げられ、多くの場合では何年もかけて体系化されたデータセットについて、高いレベルの実績と正確性が確保されている」からだ。

さらに多くのAIプロジェクトが「概念実証の段階を脱し、成功したプロジェクトが部門の枠を超えて実装されるにつれて、さらなる効果や、投資に対する利益が生じる可能性が高い」と、ローワンは予測する。「現時点では、企業幹部は、競争で取り残されることへの不安に基づいて決断を下しているかもしれない。したがって、行きすぎたAIブームが落ち着いていくなかで、経営幹部の関心と支援を維持するには、効果測定が非常に重要な要素になるはずだ」
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AIから得られるメリットを現実のものとするために必要とされる姿勢について、ウムラウフは「最も有望な使用事例を選び、他の選択肢と比較したAIの実績を入念に測定し、継続的な改善のプロセスにコミットすること」だと述べる。

「狭い意味で言えば、自社のAIプロジェクトが成功したと企業が判断できるのは、明確に、かつ一貫して、比較対象となる既存のソリューションを上回ることが実証され、広範に採用されるようになったときだ。別の成功の兆しとしては、AIが背景に退き、人間の社員が自身の目標をより効果的に、効率よく達成するためのツールの一つになった時になるだろう。そこまで行けば、我々は次の波を心待ちにすることができる」

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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