日本文化が世界で価値を高めていくには
アドバイザリーボードを務めたBIOTOPE CEOの佐宗邦威と、工芸をアートとして国内外に広めるプラットフォームを展開する丹青社 B-OWNDプロデューサーの石上賢、盆栽をストリートカルチャーや現代アートと融合させ新たな価値を提示するTRADMAN’S BONSAI代表/松葉屋社長の小島鉄平によるキーノートセッションも実施。海外市場に日本の文化をどう広げていくかについて意見を展開した。海外での活動も多い石上は、日本文化の状況について「追い風を感じている」と表現。「文化は変容していくもの。日本文化が海外で受容される際に変化が起きるのはいいと思っていますが、大切なのは『美の価値(評価)基準』までを明け渡さないことではないか」と指摘した。
小島も「盆栽は海外ではひとつのアートとして捉えられています。私も盆栽を『生きているアート』と表現していますが、私たちの世代ではつくっても完成まで見ることはできず、次の世代に受け継いでいくもの。そして、今はこういった精神性に海外から目が向けられていると感じています」と話した。
佐宗も「海外市場に日本の文化をどう広げていくかという議論の時、2つのポイントが大事」とコメント。「まずは美意識について、『本物』を見せていくこと。文化をアートに昇華するように、本物の価値を底上げしていくチャレンジは大切です。ただその一方で、本物だけにこだわりすぎると一般層にまで広がっていかないので、現地(の企業やアーティスト)とコラボするなどのローカルカスタマイズも必要になる。その両軸で進めていくのが大切なのではないか」などと意見を展開した。
「クラフトサケ」で乾杯!
授賞式後には、上七軒歌舞練場の中庭で懇親会を開催。乾杯酒には、受賞者である稲とアガベの岡住修兵氏が特別に用意してくれた『交酒』と『花風』が振舞われた。日本酒の製造技術をベースに、米を原料とする新しいジャンルの「クラフトサケ」だ。また、同じく受賞者の京・甘納豆処 斗六屋4代目 近藤健史が特別に記念包装を施してくれた種菓子ブランドSHUKAの甘納豆が参加者へのお土産として提供され、彫刻の町・富山県井波町で「職人に弟子入りできる宿」を展開する山川智嗣が代表を務めるコラレアルチザンジャパンが携わった、彫刻師の木屑で燻した燻製ポテトチップスなどが会場で振る舞われた。
ポジティブで新しいつながりが生まれている実感と共に、会場は笑顔と熱気に包まれ、最後まで大いに盛り上がった。
▶︎今年の受賞者30組はこちら
▶︎Forbes JAPAN 2024年11月号はこちらから