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2024.10.07 16:00

スマートグラスとAI、顔認証機能で個人情報が丸見え 詐欺師に悪用される危険

Getty Images

実際、グエンとアーデイフィオは、駅のホームで出会ったケンブリッジコミュニティ財団の女性に対して同財団で会ったことがある伝えたところ、女性はそれを信じてアーダイフィオと会話をし、握手をした。また、2人は、インドでマイノリティの権利のために活動している男性にも声をかけて信頼を得た。さらに、大学の構内で出会った女性にアトランタにある彼女の実家の住所と両親の名前を伝えたところ、彼女はその情報が正しいことを認めた。
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このシステムの構築に必要なテクノロジーは以下の通りだ。高度な技術は不要で、入手も容易だ。

・スマートグラス「Ray-Ban Meta」第2世代
・顔認識検索エンジン「PimEyes」
・オープンなLLMデータ抽出モデル
・住所検索サイト「Free People Search」
・社会保障番号検索サイト「Cloaked.com」

「あなたは、ひと目見られただけで個人情報を知られてしまう世界に対する準備ができているだろうか?」と、グエンはI-XRAYのプロジェクト文書の中で述べている。多くの人は、公共の場において匿名性が保たれることを期待しているが、それはもはや現実的ではない。2人の学生が空き時間を使ってこれほど強力な個人情報の探索ツールを構築できるのならば、国家や大企業はどれほどのことができるだろうか。
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「I-XRAYは当初、サイドプロジェクトとして始まったが、すぐにプライバシーに関する重大な懸念が浮き彫りになった。私たちは、このツールを公開することはしない」とグエンとアーデイフィオは述べている。公共の場におけるプライバシーはもはや存在しないのかもしれないが、2人は最低限できる対策を提案している。

1. PimEyesやFaceCheck IDのような顔認識データベースから自分の情報を削除すること
2. Free People Search、CheckThemなどの人名検索エンジンから自分の情報を削除すること
3. 金融機関などのプライベートなアカウントには、二要素認証を設定すること

これらの項目を実行すれば、少なくともグエンとアーデイフィオが開発したシステムで、自分を特定されることはなくなるだろう。しかし、私たちの情報を知りたがっている大企業や国家を相手にした場合は、このような対策もほとんど役に立たないかもしれない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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