宇宙

2024.10.01 13:00

核爆弾で地球を「小惑星衝突」から本当に救えるか? 最新の模擬実験で検証

約6600万年前に起きたチチュルブ(Chicxulub)天体の衝突を描いた想像図(Getty Images)

研究チームは、サンディア研究所にある世界最強のX線パルス発生装置のZマシンを用いた実験を行った。実験では、小惑星を模擬した石英とシリカ製の試料を、特別な真空容器内に細い金属薄片で吊るした上で、過熱されたアルゴンプラズマから発生するX線パルスを照射して蒸発させた。金属薄片は瞬時に蒸発し、試料が瞬間的に重力の影響を受けずに浮いた状態になるため、宇宙空間に浮遊する小惑星の表面近くでの核爆発をより正確に再現できたと考えられる。X線パルスを照射した試料がどのように動くかを観察し、試料の表面から噴出する蒸気によって生じる推力を算出した。
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記録された実験データは、影響規模を拡大するためのコンピューターモデルで使用した。1メガトン爆弾(比較的小型の核爆弾)の爆発時に受けるような、はるかに高いエネルギーレベルを、はるかに大型の対象物に作用させた場合の影響を調べた。シミュレーションの結果によると、発見が早ければ、直径が最大4kmの小惑星の進路を核爆発で逸らすことができる可能性があるという。

小惑星との接触点が地球から十分遠ければ、最初に押す力が非常に小さくても、時間とともに軌道の変化が徐々に増加するため、地球との衝突の危険性が著しく低下すると考えられる。

今回の論文「Simulation of asteroid deflection with a megajoule-class X-ray pulse」は、学術誌Nature Physicsに掲載されており、ここで閲覧できる。追加資料と論文執筆者ネイサン・W・ムーアとのインタビューはNature誌のウェブサイトに掲載された。
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forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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