猪侍はご法度、「次につなげよ」
起業家A氏に頼まれ、ベンチャーキャピタル(VC)社長とアポイントを入れ、いざミーティングに臨みました。しかし、最悪の展開になったのです。A氏は60分しゃべりっぱなしで時間切れに。もちろん次はナシ。伝えようと頑張り過ぎて、猪突猛進したわけです。これを猪侍とか猪武者とも言います。
大切なのは興味を持ってもらい、縁のきっかけとすること。つまり、目的=次のミーティングやアクションを勝ちとる、そのために相手とキャッチボールして関心や懸念を理解し、相手から宿題をもらうことです。例えば、疑問点への回答や事業計画ほか資料の提出など、具体的なものであるほど望ましいです。
そのためには、
1) ごく短くポイントを突いた自己・自社紹介をして、もっと知りたいと思ってもらう
2) 質問を受けるなどやりとりをして、相手を理解し、こちらがアピールできる点を伝え、また懸念を受け止める
3) 具体的な次のステップを話し合う
ことを時間内にやり遂げます。
今回は、特に冒頭のプレゼンテーションについて、掘り下げてみましょう。
すぐハートをつかめ! さもなくばサヨウナラ
筆者の友人で富士山マガジンサービス会長の西野伸一郎氏は、かつてアマゾンのジェフ・ベゾスCEOとの初回ミーティングで、「10分くらいプレゼンをしたところで、ベゾスがついと席を立って出て行ってしまい、戻ってきたと思うと『後の予定はリスケしたから、好きなだけ時間を使え』と言った」というエピソードを語っています。一方、筆者の上司だった、ジェネラル・アトランティック(米国本社のグロース投資会社)会長のスティーブ・デニング氏は1時間のアポイントでもはじめの10〜15分で終了させることがありました。
ハートをつかめば時間制限ナシ、つかみがなければサヨウナラ。ハードロックのコンサートは冒頭の数分で全体の印象が決まると言いますが、ビジネスでも同様。はじめの10分で相手をつかむパワープレゼンテーションを準備することです。
そのためには、まず出発点となるエレベーターピッチを用意することをおすすめします。