「高い値段で買っても、すぐに流行りが終わる」「また同じドレスを着ている、なんて思われたらどうしよう」。そんな女性ならではの心理をついた、ドレスのレンタルサービス「レント・ザ・ランウェイ」が話題だ。買い付けから、アルゴリズムの構築、ドレスの染み抜きまですべて自社で行う。シリコンバレーで注目を浴びる“女子力”の秘密に迫る。
(中略)
「SNSにアップしたものは、着られない」
レント・ザ・ランウェイが保有するのは、6万5,000着を超えるドレスと、2万5,000個を超えるブレスレットなどのアクセサリーだ。現在、会員は約500万人もいる。よって、オペレーションはこのうえなく複雑だ。
同社では、ドレスが会員のあいだを飛び回るのをアルゴリズムで巧みに処理する。マイラー樹脂製の返却用封筒に丸めて入れられて戻ってきたドレスの約6割が、その日のうちに、次の会員のもとに届けられる。ニュージャージー州セコーカスにある倉庫には、200人超のスタッフがおり、返却されたものを仕分けし、染みを取り除き、宝石を消毒し、裂け目を直す。この秋には、手狭になったこの場所を離れ、約15,000㎡の倉庫に移る予定だ。
彼女たちのアイデアは、時代の流れにうまくマッチした。ミレニアム世代の若者たちは、「所有」から「シェア」の時代へと移行していった最初の世代なのだ。
ファッションというものは、投資としては効率的なものではない。いま流行っている色は、少したてば見向きもされなくなるし、流行のスタイルだってすぐに変わる。あなたの体形だって、ずっと同じではいられない。
だがレント・ザ・ランウェイを利用すれば、70ドルで定価2,295ドルのカルバン・クライン・コレクションのドレスを着ることができる。たった30ドルで、1,295ドルするヴェラ・ウォンのドレスを身に纏うことだってできるのだ。同社は「アンリミテッド」という、1カ月75ドルで顧客がサングラスなどの服飾品を3点まで無期限で借りられる会員登録サービスも始めた。「私たちは、お客様が『買うのは賢明でない』と判断したものを手にする機会を提供しています」とハイマン。
レント・ザ・ランウェイの内部調査によると、米国の女性は、平均で年間64着の服を買い、そのうち半分は一度しか袖を通さずに終わる。フェイスブックやインスタグラムにより、こうした状況はより一般化している。
「友達がソーシャル・メディアで見ているので、もう同じ服は着られません。それがプレッシャーになっているのです。バカバカしいと思われるかもしれませんが、それで私たちのビジネスが回っているのです」
(以下略、)