それはみな、自分のインパクトを最大化するためだ。休息のために確保した時間ですら、達成目標へと変えてしまう。しかし仕事は単に達成すべきものだと考えているせいで、思いがけない贈り物を受け取っても、それを邪魔な障害物だとみなすようになる。
とはいえ、自分を取り巻く環境を、完璧にコントロールすることは不可能だ。そして、コントロールしなければならないというプレッシャーそのものが、私を消耗させ、目標達成に向けた歩みにブレーキをかけてしまう。
主導権が自分にはないことを、私は学ばなければならなかった。そして、思いがけない出来事を贈り物とみなす必要もあった。その子猫は鏡のような存在であり、私が人生と仕事において、根本的に何を変えるべきなのかを写し出していた。
そこで私は、子猫と遊び、餌を与え、膝の上で昼寝をさせてやった。子猫は私の肩によじ登ったり、私が書いたメモを噛んだりしながら、「コントロールしなければならない」と身構えていた私の戦闘モードを少しずつ解いていった。
すると、驚くべきことに、私の心から雑念が払われ、ストレスが消えていった。そして、オールバニーで答えを出そうと思っていた質問そのものについて、より明晰に考えられるようになった。
この子猫が教えてくれた教訓は、ずっと心に残るだろう。思いがけない出来事に直面しても、抵抗せず、それを贈り物だとみなせば、これまでにない可能性や喜びを受け入れ、その過程で新たな安らぎを感じるようになる。
近ごろは、私が会うリーダーのほぼすべてが疲れ切っており、ストレスに悩まされている。ここで子猫とのエピソードを紹介したのには理由がある。私が悩みを解消しようとして取り組んできたさまざまな努力は、実は、この子猫が私になんとしても教えようとした教訓には到底及ばないのだ。
しかも、この教訓はまだ終わっていない。私たち家族はこの猫を引き取って、オールバニー(通称オリー)と名づけた。いまでは、私が仕事をしていると、オリーはデスクの上で過ごし、膝の上で眠っている。おまけに、獣医によると、オリーが生まれたのは、私の誕生日である4月25日前後だという。
忌々しい猫を楽しもうではないか。
(forbes.com 原文)