2024.08.04 12:00

上位0.1%の超富裕層が求めるラグジュアリー、旅行業界には提供不可能に?

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ラグジュアリーな旅をする人たちは、写真にうつったホテルの不完全な部分を隠すためのプロによる修整や、高級とはいえないものを「特別待遇」のように宣伝する尊大な広報戦略に目を光らせている。少なくとも、そうであるはずだ──超高級な旅とライフスタイルをサポートする米Sienna Charlesの創業者、ジャクリン・シエナ・インディアは4年前、自身のブログにそう書いた。

インディアはこの投稿に、「ラグジュアリーホテルはなぜ死んだのか」のタイトルをつけている。そのなかで、ラグジュアリートラベルブランドがSNS上で活動するインフルエンサーたちのためにどれほど力を尽くし、超富裕層の旅行者が優れたサービスの評価基準とする「パーソナライズされたサービス」の価値を低下させてきたかについて、説明している。

新型コロナウイルスの世界的な流行が落ち着き、ラグジュアリーなブランドではなくてもインフルエンサーと提携することが標準的なマーケティング手法となって以降、世界の超富裕層の多くは、さらに料金が高くなったホテルよりも、外国のプライベートヴィラやヨットを滞在先に選ぶようになっているという。

──つまり、ラグジュアリーホテルはその後も、「死んだ」ままでいるのだろうか? 生存を示す、何らかの兆候はないのだろうか?

答えは「イエス」でも「ノー」でもある

これについてインディアは、「最高級のホスピタリティー(の分野)においては、サービスの質が低下しています。裕福な人が大幅に増加したため、数少ない顧客を獲得するために全力で競い合う必要がなくなったからです」と語る。

「最近では、富裕層であっても超富裕層ではない保有資産3000万ドル(約45億円)以下の人たちも、ラグジュアリーな旅ができるようになりました」「そうした人たちが皆、ほかではできないラグジュアリーな体験を求めて、同じレストランやヴィラ、ホテルに行こうとしています」

数少ない超富裕層の顧客と同じ体験を求める人がさらに増加すれば、従来のサービスの水準を維持することは、難しくなるばかりだ。
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編集=木内涼子

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