スタートアップを応援する街としての京都
今井:IVSの中で、IVS LAUNCHPAD(以下、LAUNCHPAD)というピッチイベントをしています。ロケットの発射台という意味で、ここからいろんなスタートアップに飛び立ってほしいという思いでの開催です。LAUNCHPADに出ると採用ができたり、資金調達が決まったりするため「スタートアップ界のM-1」とも言われています。LAUNCHPADに出て、「世界を変えます」と真顔で言っているファイナリストの皆さんが僕にはヒーローに見えています。その人たちをちゃんと賞賛し応援して、その未来がどう実現できるかをみんなで考える空間や熱狂がすごく好きで、やっぱりいい空間だと感じます。
最優秀に選ばれた方に対して京都が1000万円を出すスタートアップ京都国際賞があり、今年は東大発・物流ロボティクスベンチャー「RENATUS ROBOTICS」が選ばれました。
こういった賞の対象は京都の企業に限定したり、拠点を京都に移転してくださいという制約がよくあると思いますが、特に制約がありません。京都として「やっぱりスタートアップといえば京都が応援している」というイメージをIVSを通して発信したいと思い、企画してくださっています。
山田:IVSをやったおかげで「京都=スタートアップ」みたいな感覚が少しあるなと思います。
ハラスメントやトラブルとの向き合い方 IVSとしての意思表示
藤田:アンチハラスメントポリシーを強く打ち出していたのも印象的でした。今井:イベントに出たときに嫌な思いをした女性たちがいたということを、恥ずかしながら僕は知らなくてびっくりしました。絶対にそういうことが起こる場にしたくないという意思表示をやるべきだと話し、アクションに移ったんです。実際に別のイベントで嫌な思いをしたメンバーと、それをサポートするメンバーで進めました。(編集部注:今年の女性参加比率は昨年を上回った。)
山田:1万人もの人が集まるとトラブルが起こると思いますが、そういったことが起こる前提で準備していることはありますか?
今井:体制は万全に整備されています。例えば、トラブルが発生した際には、弁護士の体制もしっかりと機能するように準備しておりました。また、ハラスメントに関する対応としては、専用のフォームを用意しています。こういった対策を通じて、問題が発生した際にも迅速かつ適切に対応できるよう努めています。
IVSは今も100人近くのボランティアスタッフに企画を作っていただいています。1万人もの人たちが喜んでくれるコンテンツを考えるには、各業界のすごい人に任せた方が良いと思っているので、皆さんに思いを伝えて関わっていただいています。その上で、何かあったときには事務局が腹をくくりますというスタンス。特にルールは作っていなくて、本当に皆さんの秩序で成り立っています。サイドイベントに関しても、クオリティコントロールをしなくても、いいイベントがたくさん存在しているので特に何らかのフレームを作ったりはしていません。
2年連続での京都開催 「今年も来て良かった」
今井:今回は「今年も来て良かった」と言われるか、という大事な年だと思っています。こうやっていろんな地域にうかがって「来てください」と言っているので、IVSを本当に楽しんでいただきたいと思っています。昨年に続き、招待制を撤廃した今年に関しては、ある種評価をされる年だと思っているので、当日皆さんからフィードバックをもらえるのが楽しみです。