レヴィーンの経験によれば、生成AIツールは観光のように長期にわたって内容が変化しにくい静的な情報の扱いに何よりも長けている。最近、チリの海岸沿いをドライブする7日間の旅程を組むようAIチャットボットに問いかけたところ、生成された出発地は実に理想的な場所だったという。別の旅行では、シカゴ・オヘア国際空港であまり知られていないターミナル連絡バスをAIが発見してくれたため、乗り継ぎの時間を節約できた。
休暇の計画を立てるにあたっては、その土地を旅行した経験のある人の口コミや、現地に造詣の深い旅行代理店が顧客に応じて提供するアドバイスに勝るものはない。確かなアドバイスには人間味がある。
それでも、ChatGPTは旅程を組む際のすばらしい出発点になり得る。ただし、それには的確なプロンプトの入力方法を心得ていて、情報の事実関係をしっかり確認できるだけの忍耐力があることが条件となる。
米コンサルタント会社ロングウッズ・インターナショナルによると、米国人旅行者の14%が最近ChatGPTを使って旅行計画を立てたと報告し、約3分の1が今後、旅行計画を立てるのに生成AIを利用したいと考えているという。
ChatGPTの旅行提案はどれだけ正確か
しかし、ChatGPTの提案する旅行計画では、実在しない場所を旅行先に設定したり、移動手段や宿泊予約、保険などの手配が甘かったり、営業時間外のレストランや観光施設を案内したりする場合が多い。これは、旅行事業者向けマーケティングサービス会社の英SEOトラベルが実際にChatGPTを使い、人気観光地での週末2日間の旅程を100例提案させて分析調査した結果だ。なお、現実でChatGPTを利用して旅行計画を立てようとした人たちも、こうした問題に出くわしている。
米PBSで冠番組「Alice's Adventures on Earth」を持ち、同名のウェブサイトも運営している冒険映像作家のアリス・フォードは昨年夏、YouTubeで公開する動画用の実験としてChatGPTを体験。ロサンゼルスでできる冒険的なアクティビティについて尋ねてみた結果について、こう語っている。
「私が気づいたのは、これまで思いつきもしなかったアイデアをいくつか与えてくれたことだ。だが、実際にツアーオペレーターやアドベンチャーガイドを探そうとしたら、それはずっと難しいことがわかった。提案された中には、片道5時間のドライブが必要な季節限定のアクティビティもあった」