例えば、プレハブひとつにしても、大して必要でなくなっているのに「毎年建てているから」という理由で建て続けているものを削ったり。業務の棚卸しをし、発注先を精査し、宿泊部分を充実させるなど、ビジネスとしての精度を高めていく方向で取り組んでいます。もちろん、フジロックとして譲れない部分もあって、強引に押し切ることもありますが。
日高さんは今ファウンダーという立場で、一歩引いて達観されているのですが、どうしても我慢出来ないことがあったら出て来たりもしますね(笑)。こちらから相談に行くと影響を受けすぎてしまうので、どうしても困ったときだけお願いするなど、見守ってもらっています。
円安・物価高の影響、世界のフェスの現況
コロナも大変でしたが、円安、物価高がやはりキツいですね。1ドル160円を超えてきましたが、2010年代初頭ぐらいは1ドル80円くらいだったんですよね。海外アーティストを呼ぶ場合、昔と今で仮にギャランティが同じだとしても2倍かかります。加えて出演料も高くなっているので、これまで出演してもらえていた人を呼ぶことが難しく、葛藤しています。毎年、大体の総予算が決まっているのですが、フジロックやサマーソニックのように海外のアーティストをメインアクトにすると、国内アーティストだけでやっているフェスとはまた違うリスクがあります。
フジロックが97年に立ち上がって、サマソニができて……コロナの数年前には、日本中、年がら年中フェスが行われている飽和状態みたいになっていると感じていました。それがコロナでによってフェスに行けない状況になり、コロナが明けて、「やっぱりフェスに行きたい」という欲求が去年くらいから爆発して、今は需要としては勢いがある状況だと思います。
コロナ禍は確かに痛手でしたが、違う視点で考えると、立ち止まって振り返る時期だったのかなとは思います。あの状況になってなかったら1年休むということは当然なかったと思うので。