北米

2024.06.27 12:30

【米FOMC】1ドル160円突破で再注目、「7月会合」の注目ポイント

Kevin Dietsch/Getty Images

Kevin Dietsch/Getty Images

市場の予測では、米連邦公開市場委員会(FOMC)が米国時間7月31日に行われる次回会合で金利を調整するとは考えられていない。しかし、経済指標が良好な傾向を見せ続ければ、9月18日の会合では利下げに踏み切る可能性もあるだろう。

市場の期待

市場は現在、7月のFOMCで金利が動く可能性はほとんどないと見ている。予測サイトのKalshiは、7月に利下げが実施される可能性はおよそ7%だとしている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatch ツールは、その確率を10%としている。対照的に、9月の会合で利下げが実施される可能性は、現在のところ高い。

加えて、6月12日に発表されたFOMCの経済見通し(SEP)では、2024年に1回か2回の利下げが実施される可能性が示唆されている。年内のFOMC開催は残り4回しかない。したがって、7月の利下げは早すぎるかもしれないが、9月の利下げに対する市場の期待にFOMCが応える可能性もあるだろう。

声明文の文言変更の可能性

その1つの方法は、直近のFOMC声明文の文言を調整することかもしれない。

 「私たちは、インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信が深まるまで、(FF金利の)目標レンジを引き下げることが適切であるとは考えていない」

この文言は2024年1月以降のFOMC声明文で一貫して使われており、文言の変更は重要な意味を持つ可能性がある。

インフレ動向

もちろん、そのためにはインフレ率が2%に向かって推移し続ける必要がある。4月と5月の経済指標にはその兆候が見られたが、6月と7月のインフレ動向はFOMCの意思決定にとって重要である。

現在のところ、インフレ率が低下し、利下げが支持される可能性は高いと思われる。しかし、2024年第1四半期に見られたように、そうしたインフレ率の低下が見られない場合、利下げは2024年後半、あるいは2025年にずれ込む可能性がある。

雇用市場

失業率の見通しはFOMCの意思決定にも反映される。これまでのところ、連邦準備制度理事会(FRB)は、失業率が若干上昇したにもかかわらず、雇用市場が堅調であるとの確信を表明している。もし雇用市場が予想外の弱さを見せた場合、FOMCは利下げを加速する可能性が高い。

最大限の雇用(maximum employment)は、物価の安定(stable prices)と並ぶFRBの使命の1つだ。今のところ、これは問題になっていないが、状況は急速に変化する可能性がある。

7月会合の行方

FOMCによる7月の決定会合では、金利が現在の5.25%から5.5%のレンジで安定的に維持されることが大方予想されている。会合までには、インフレ率や米国の雇用市場に関するデータなど、重要な経済指標の発表が控えている。これらの経済指標が予想に反して急変した場合、FOMCのスタンスが変わる可能性もある。

しかし、7月の会合から、FOMCは今回の景気循環における最初の利下げに向けて徐々に動き出す可能性はあるだろう。FOMCは通常、市場予想の管理に慎重な姿勢で臨むことから、7月の会合で最初の利下げを行うのではなく、利下げが間近に迫っていることを、次回の会合で正式に示唆する可能性がある。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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