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2024.06.14 11:30

東京はアジアの「シン・金融センター」になれるか? 訪れた好機と克服すべき課題

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台北が選んだ道

コロナ禍の初期、台湾の金融政策コミュニティーでは、台北がアジアの金融センターになる可能性が議論されていた。台湾政府は以前にもこのアイデアを検討したことがあったが、今回は本当のチャンスが到来したと思われた。香港が難題に直面していたうえに、台湾が当時、新型コロナを非常にうまく封じ込めていたことについて好意的な報道が相次いでいたからだ。
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わたしたちも、金融の専門家やシンクタンクの研究者らとのブレインストーミングに何度か参加した。しかし、すぐに明らかになったのは、台湾政府は台北をテクノロジーハブ以外の点でも卓越した存在にするという案をたいへん気に入っていたものの、金融センターとしての競争力を高めるような税制改正や規制改革に踏み込む姿勢ではないということだった。香港やシンガポールに比べて個人所得税が高い(最高45%)ことも問題だが、それ以上にネックになりそうなのは一部の金融商品に対する規制や、会社の設立に関する煩雑な要件だ。

一連の議論から浮上したアイデアのひとつに、台北を金融リサーチ(調査)の拠点にするというものがあった。これは当時、一部のヘッジファンドが香港の人員を削減し、リサーチチームをどこに移すか検討していたという事情もある。規制面では、リサーチは金融サービスのほかの分野ほど制限が厳しくない。また、台北はほとんどのものが香港よりはるかに安い。

しかし、台湾政府は最終的に金融センター構想を棚上げし、テクノロジー製品、とりわけ半導体という、お馴染みの分野をさらに強化することを決めた。実際、それが最善の道だったのかもしれない。5月13日には、業績が好調な台湾積体電路製造(TSMC)の株価上昇にけん引され、台湾証券取引所の上場企業の時価総額が66兆台湾ドル(約2兆400億米ドル、320兆円)を初めて超えている。

「2強」の一角、香港は先行き不透明

アジアでデジタル資産分野の成長の中心地が香港とシンガポールだという事実は、両都市がなおアジアの主要な金融センターであることを物語っている。両都市の間には競争も存在するものの、これまでのところ、おおむね補完的な関係になっている。シンガポールはどちらかと言えば機関投資家向けの市場の開拓に重点を置き、香港は個人投資家も引き寄せたいと考えている(もっとも、それはだんだん難しくなりそうではあるが)。
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たしかに、日本はかねてデジタル資産に関心を寄せており、この分野を幅広く支援する法整備も引き続き進めている。日本は、法定通貨などと連動する「ステーブルコイン」に対する規制も率先して導入しており、5月には、日本の投資ファンドやベンチャーキャピタル(VC)が取得できる資産リストに暗号資産を追加する法律も制定された。とはいえ暗号資産業界もやはり、日本ではほかの金融サービス分野と同様に税制面の問題に直面している。

香港に関しては、法制度に影響を与える動向を今後も注視していく必要があるだろう。法制度のインテグリティー(健全性・公正さ)は金融センターとして繁栄していくうえで基盤となるものだからだ。香港では3月に国家安全条例が可決・施行され、今月には香港の最高裁にあたる終審法院の外国人判事3人が辞任している。

forbes.com 原文

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