ビジネス

2024.05.31 00:00

【例文付き】「拝啓」の正しい使い方とビジネスシーンでの使用方法

「拝啓」とは

「拝啓」は相手に敬意を示すあいさつ

「拝啓(はいけい)」は、手紙やビジネス文章のはじめに使われる挨拶文で、相手に敬意を示す言葉です。「拝」には「おじぎをして相手に敬意を表する」という意味があり、「啓」には「申し上げる」という意味があります。これにより、「拝啓」は「謹んで申し上げます」という意味を持ち、正式な手紙の冒頭に用いられます。

「拝啓」は「敬具」とセットで使うのが一般的

「拝啓」は手紙の冒頭で使用され、その結びには「敬具(けいぐ)」が対となって使われます。「敬具」もまた、相手に敬意を示し、手紙を締めくくる言葉です。このように、手紙の始めと終わりに敬意を示すことで、全体の調和がとれるのです。

「拝啓」はビジネスでもプライベートでも使える

「拝啓」はビジネスシーンだけでなく、プライベートシーンでも使用可能です。例えば、公式な手紙やフォーマルな挨拶文など、相手に対して敬意を表す必要がある場面で広く用いられます。ビジネスシーンでは特に重要な役割を果たし、手紙の始まりとしてふさわしい表現です。

「拝啓」を使う手紙の基本構成

「拝啓」を使う手紙の基本構成は、以下の通りです。

  1. 頭語:手紙の冒頭に「拝啓」を記載する
  2. 時候の挨拶:季節や気候に合った挨拶を記載し、相手の健康や繁栄を祈る言葉を続ける
  3. 本文:「さて」「このたびは」といった起語のあとに本文を記載する
  4. 結びの挨拶:相手の繁栄を祈ったり、変わらぬお付き合いを願ったりする一文を記載する
  5. 結語:「敬具」を記載して手紙を締めくくる
  6. 後付:日付・差出人名・宛名などを記載する(横書きの案内文では冒頭で記載することもあります)

「拝啓」を使った手紙の例文

ビジネスシーンでのあいさつ文

ビジネスシーンでは、さまざまなあいさつ文が存在します。ここでは、取引企業への移転のあいさつをする際の例文を紹介します。

例文:

拝啓 春暖の候、貴社におかれましては益々ご盛栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび弊社は事業拡大に伴い下記住所へ移転する運びとなりました。
つきましては、これを機会に社員一同なお一層の努力をいたす所存でございますので、今後ともますますのお引き立てを賜りますよう、よろしくお願いいたします。
まずは略儀ながら、書中をもちましてご挨拶申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇(差出人住所)
株式会社〇〇
代表取締役〇〇(差出人の名前)

取引先へのお礼文

取引先から頂き物をした際のお礼文を紹介します。

例文:

拝啓 盛夏の候、貴社におかれましては、益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたびはお心のこもったお品を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。
社員一同にて美味しくいただきました。心からお礼を申し上げますとともに、今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
暑さ厳しき折、皆様のご多幸と貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
〇〇〇〇(差出人の名前)
株式会社〇〇
〇〇部 部長 〇〇様(相手の名前)

「記書き」を使った案内文

記書きで日時や場所を知らせる形式の案内文でも、取引先へ出す場合などかしこまった場面では「拝啓」を使用することで、より丁寧な印象になります。

例文:

令和〇年〇月〇日
取引先各位(相手の名前)
株式会社〇〇
〇〇〇〇(差出人の名前)
〇〇のご案内
拝啓 時下益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、弊社ではこのたび〇〇を目的として、〇〇を開催する運びとなりました。つきましては、ご多忙中のことと存じますが、ぜひともご参加いただけますと幸いです。
敬具

日時 〇〇
場所 〇〇
住所 〇〇
以上

個人宛の近況報告文

友人や恩師へ近況を報告する際の手紙でも「拝啓」を使用すると、より丁寧な印象を与えられます。

例文:

拝啓 節分が過ぎ、ようやく寒さもゆるみ始めました。その後いかがお過ごしですか?
このたび、私は〇〇株式会社〇〇部への配属 となりました。
(仕事への意欲や近況報告を書く)
どうぞ、今後とも温かく見守っていただけますと幸いです。
季節の変わり目ゆえ、お風邪など召されませぬようご自愛ください。
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇(差出人の名前)
〇〇〇〇様(相手の名前)

「拝啓」を使わない方がいい手紙とは

「拝啓」は多くの手紙で使用できる便利な頭語ですが、使用すべきではない手紙もあります。ここでは「拝啓」を使わない方がいい手紙を3つ紹介します。

親しい人へのカジュアルな手紙

冒頭で紹介したように、「拝啓」は相手に敬意を示す言葉です。丁寧な印象を与える一方で、親しい人への手紙で使用すると、相手に距離を感じさせてしまう場合があります。そのため、カジュアルな内容の手紙や、相手が「拝啓」などの頭語を使用していない手紙への返信で、「拝啓」を使用するのは避けましょう。

お見舞いやお詫びの手紙

体調を崩されている方への手紙では、読む際の負担を減らすため、「拝啓」を含む前文は記入しないのがマナーです。また、相手に謝罪をしなければならないお詫びの手紙でも、前文は省いて謝罪の言葉を真っ先に記載します。

メールやチャット

「拝啓」や時候の挨拶を含む前文は手紙で使用する言葉であり、簡潔なやり取りが求められるビジネスメールやオンラインチャットでは使用しないのが一般的です。メールでは「いつもお世話になっております」「お忙しいところ失礼いたします」など、簡単な挨拶から始めるといいでしょう。

「拝啓・敬具」以外の「頭語・結語」を紹介

「拝啓・敬具」はよく使用される頭語と結語ですが、そのほかにもさまざまな種類があります。手紙の内容によってそれぞれの「頭語・結語」を使い分けましょう。

手紙の内容 頭語結語
一般的な手紙 拝啓、拝呈、拝白、啓上敬具、敬白、拝具、かしこ
改まった手紙 謹啓、謹呈、恭啓謹言、敬白、かしこ
急を要する手紙 急啓、急呈敬具、草々、かしこ
前文を省略した手紙 前略、冠省草々、不一、かしこ

なお、「かしこ」は女性しか使用できない結語です。

種類別|手紙の書き方

手紙の書き方については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。

  • ビジネス年賀状の書き方は?取引先・上司・お客様向けの例文を紹介!
  • お中元のお礼状の書き方は?相手・季節別ですぐに使える例文を紹介
  • 【例文付き】暑中見舞いの書き方は?送る時期から喜ばれるコツまで
  • 【例文付き】残暑見舞いの書き方を解説!暑中見舞いとの違いは?
  • 寒中見舞いの書き方は?喪中はがきの代わりにする際の文例も紹介!
  • 面接のお礼状は必要?メリットや書き方を解説!【例文あり】
  • 【内定のお礼状】正しい書き方やポイント・注意点を例文付きで解説

まとめ

  • 「拝啓」は手紙やビジネス文章の始まりに使われる挨拶文で、相手に敬意を示す言葉です。
  • 「拝啓」は「敬具」と対になって使用され、ビジネスシーンとプライベートシーンの両方で使えます。
  • 手紙の基本構成に沿って、「拝啓」を正しく使用することが重要です。
  • 「拝啓」を使わない方がいい手紙もあり、親しい人へのカジュアルな手紙やお見舞い、お詫びの手紙には使用しません。
  • 「拝啓」以外にもさまざまな頭語があり、手紙の内容に応じて使い分けることが大切です。

「拝啓」を正しく使用し、相手に敬意を伝える心のこもった手紙を書きましょう。

ForbesBrandVoice

人気記事