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2024.05.28 12:00

中国恒大のEV部門の株価が2倍以上に急騰、「買い手候補」浮上で

VCG/VCG via Getty Images

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中国の不動産開発大手の恒大集団(エバーグランデ)傘下の電気自動車(EV)メーカー、恒大新能源汽車集団(恒大汽車)の株価が5月27日、同社の買い手が現れたとの報道を受けて急騰した。

香港に上場し、苦境にある恒大グループのEV部門の株価は、27日に一時113%急騰した。26日の提出書類によると、親会社の清算人は同社の29%の株式を取得する可能性のある買い手を見つけたと述べ、将来的にさらに29.5%の株式を購入するオプションもあるとしている。しかし、買い手の名前は明かされていない。

香港を拠点とするエバーブライトの証券ストラテジストのケニー・エンは、投資家はこのニュースを歓迎したと述べている。提出書類によるとこの買い手は、恒大汽車の継続運営を支援するための資金を提供する可能性があるという。

しかしエンは、どのような取引もまだ確実ではないと注意を促した。さらにいうと、世界最大のEV市場である中国における競争は激化しており、BYDからテスラまで、自動車メーカー各社は積極的な値下げ競争に追い込まれている。かつて「テスラを追い抜く」という野望を表明していた恒大汽車のEVの創業以来の販売台数は、年次報告書によると、2023年末時点でわずか1389台だった。

提出書類によると、同社は「深刻な資金不足」に直面しており、天津の工場は今年初めに生産を停止した。別の提出書類では、恒大汽車が特定の契約義務を果たさなかったため、政府当局は総額19億元(約410億円)の奨励金と補助金の返済を要求しているとされている。

EVメーカーである恒大汽車は、親会社の恒大集団が2年以上前に債務不履行に陥って以来苦境に立たされており、中国の不動産不況が長引く中、1月に清算を命じられている。

香港の裁判所から任命された清算人は、失脚した創業者のホイ・カー・ヤンが保有する香港上場の恒大集団の株式や、同社が保有するEVや不動産管理部門など、親会社の資産を調査し、国際的な債権者への返済にどのように利用できるかを検討している。フォーブスの富豪ランキングから転落したホイは、2023年9月以来、中国当局による強制措置の対象となっている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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