サム・アルトマンとの関係
ディアンジェロは、OpenAIがまだ非営利団体だった2018年から理事を務めていることもあり、ここ数年の生成AIの爆発的な普及を内側から見てきた。そして、彼はまた、近年のテック業界で最も劇的な権力闘争の1つとなった、サム・アルトマンの解任劇を間近で目撃した。昨年11月、OpenAIの取締役会は、「率直なコミュニケーションの欠如」を理由に、同社の創業者でCEOのアルトマンを解雇した。この衝撃的な発表はシリコンバレーに大騒動を巻き起こし、取締役会は結局、わずか5日で方針を転換してアルトマンを再雇用することになる。その際にOpenAIは取締役会のメンバーを刷新したが、唯一の例外としてディアンジェロは留任した。
ポーは、OpenAIがこの解任劇の直前に発表した「カスタマイズされたAIボットのためのハブ」という位置づけのGPT Storeと重なる部分があり、一連の騒動の間に旧取締役会とアルトマンのパイプ役を務めたディアンジェロの留任については、業界内部からの憶測も浮上した。フォーブスが、その件について尋ねるとディアンジェロはその話を「陰謀論」だとして否定した。彼は、OpenAI関連の質問についてこれ以上のコメントを避けた。
新たな論争
クオーラは、また別のAI関連の論争にも直面している。それは、AIが生成した回答のクオリティについての問題だ。一部のユーザーは、AIの導入によってサイトのコンテンツの質が低下したと不満の声を上げている。ある有名な例では、AIが生成したクオーラの回答が「卵が溶ける」と述べており、その回答はグーグルの検索を通じて拡散した。しかし、ディアンジェロは、このような失態にも動じていない。「AIによる回答は、時にはうまくいかず、人々が不満に思うこともあるでしょう。しかし、平均的に見れば、AIの回答はプラスになっていると確信しています」
ポーは、クオーラのサービスとは一線を画しているが、ディアンジェロは、AIの野望を追うために新会社を立ち上げようと考えたことはないという。その代わりに、彼は、特にAIをとりまく環境が猛烈なスピードで進化する中で、クオーラで集めた人材を活用したかったと語った。さらに、彼がクオーラのために書いたオリジナルのソースコードの一部は、ポーの基盤に組み込まれているという。
ポーの立ち上げは、クオーラという会社が2つの製品を提供する企業になるための「卒業」のようなものだったと、ディアンジェロはフォーブスに語り、グーグルがかつてウェブ検索を超えた第一歩を踏み出したことを引き合いに出した。それを成し遂げるためには、硬直化した組織を改革する必要があったという。
「私は、この会社が2つのプロダクトだけの会社になるべきではないと考えています。大事なのは、新たなものを作り続けることです」とディアンジェロは語った。
(forbes.com 原文)