中国企業によるパルワールド模倣は「誇り」 ポケットペア社長が言明

ポケットペアの新作ゲーム『Palworld / パルワールド』(c)Pocketpair

ポケットペアの新作ゲーム『Palworld / パルワールド』(c)Pocketpair

人気ゲーム『Palworld / パルワールド』を開発したポケットペアの溝部拓郎社長が、同作のクローンを作ったテンセント(騰訊)などの中国企業を「非難」した──。海外ゲームメディアが掲載したこの見出しについて、溝部氏自身が異議を唱えている。

溝部氏はX(旧ツイッター)でこれに先立ち、以下の投稿を行っていた。

「テンセントが早速パルワールドのクローンゲーム作ってる! 中国では各社が一斉にパルワールドのモバイル向けクローンを開発していて、しかも予算規模はパルワールドの10倍の100億円級・・・ 来年は原神クオリティのモンスター(または美少女)育成ゲームが大量にリリースされそう・・・ すごい時代」

これをIGNやInsider-Gamingなどの海外メディアが伝えた際、中国企業によるクローンを溝部氏が「accuse(非難)」したという表現を使ったのだ。

溝部氏はその後、Xで行った英語投稿で、こう反論した。「誰かが何かをしたと『非難』するということは、その人が何か悪いことをしていると言うこと。私はテンセントのやっていることが悪いとは思わない。他の会社がパルワールドのようなゲームを作りたがっていることを誇りに思う。(ゲーム)業界は歴史的に、人気ゲームからアイデアを借りることでイノベーションが起きる。高品質なモバイルゲームがすでにたくさん開発されていることに驚いている」

どうしてこの誤解が生じたのだろうか? その理由には、オンラインで書かれた言葉を解釈するのが難しいことと、文化や言葉遣いの違いがある。

「テンセントが早速パルワールドのクローンゲーム作ってる!」という文については、最後の感嘆符に込められた感情は憤慨とも、興奮とも読むことができる。そして、少なくとも米国では「クローン」には通常、侮辱的な意味がある。

「予算規模はパルワールドの10倍の100億円級・・・」は事実を述べているだけではあるものの、自社よりもはるかに高い予算でパルワールドを模倣していることを嘆いているようにも思えるかもしれない。「・・・」は通常、文章に異なる含みを持たせるために使われる。「大量にリリースされそう・・・」の「・・・」にも、嘆くような響きがある。また最後の「すごい時代」は、米国人であればおそらく皮肉と読むだろう。

つまり、溝部氏は純粋にわくわくした気持ちを表現したつもりだったが、言葉の選び方や語尾の感嘆符などが、二通りの意味で読めるものになっていた。だが各サイトはそのうち一方の意味を選び、「非難」という見出しで掲載したのだ。繰り返しになるが、「クローン」という表現は、ゲーム業界に関する米国の報道では一般的に否定的な意味合いを持つ。(パルワールド自体も、多くのゲームのクローンだと「非難」されており、それは侮辱の意味だった)

この報道は、多くの誤解が原因だった。このような問題が起きうるからこそ、誰かの発言を伝える際には通常、その意図について確認を取るものだ。ただ、私は各メディアを批判したいわけではない。溝部氏による説明がなければ、自分も同じように伝えてしまったかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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