米紙ニューヨーク・タイムズによると、採決を棄権したのは米国のみで、決議案は安保理15カ国中14カ国の賛成で採択された。安保理決議には法的拘束力があり、国連加盟国には履行義務がある。違反すれば制裁の対象となる。
採択された決議は、イスラム組織ハマスに拘束されている「人質全員の即時無条件解放」とガザへの「人道支援実施の確保」も求めている。ただし、人質解放を即時停戦の条件としてはいない。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、X(旧ツイッター)への投稿で「この決議は履行されなければならない。失敗は許されない」と述べている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、安保理決議が採択された直後、イスラエル代表団による米首都ワシントン訪問を中止した。ネタニヤフは採択に先立ち、米国が拒否権を行使しなければ渡米を中止すると脅していた。代表団の渡米はジョー・バイデン大統領が要請したもので、米国の対イスラエル軍事支援とイスラエルのガザ南部での作戦計画について協議する予定だった。
ガザ停戦をめぐる決議案は、これまで4回否決されている。今回採択にかけられた決議案は、22日に米国が支持した停戦決議案がロシアと中国の拒否権行使により否決されたことを受けて、日本を含む非常任理事国10カ国が共同提案した。
決議案の文言修正をめぐってはぎりぎりまで調整が続いた。ニューヨーク・タイムズによれば米国は「恒久的な停戦」という文言を「永続的な停戦」に変更するよう要求し、紛争当事者同士が停戦維持の条件を交渉できるようにした。
米国はこれまでに3回、ガザ即時停戦決議案に拒否権を行使している。しかし、22日の安保理採決では明確な条件を伴わない「即時かつ持続的な」停戦を支持し、昨年10月のハマスの越境攻撃以来続いていたバイデン政権のスタンスが大きく変化したことを示していた。
バイデンとネタニヤフはここ数週間、ガザへの対応をめぐって対立を深めている。ネタニヤフはガザ南部ラファに侵攻する意向を示しているが、カマラ・ハリス副大統領は24日、ラファ侵攻は「大きな間違い」でありイスラエルに「結果」をもたらすと述べた。
(forbes.com 原文 1, 2)