海外

2024.03.28 15:30

宇宙空間で「製薬工場」の立ち上げを目指すスタートアップ

自前の人工衛星を打ち上げる

アスパロウホフはこの実験を高く評価する一方で、ISSでこのような実験を行うことの限界を感じたという。「ISSで医薬品開発を行う頻度は低く、コストは高すぎる。それは、ISSが人を安全に運ぶために作られた複雑な宇宙船だからだ。しかし、医薬品の原料を作る上で、宇宙飛行士は必要ない」と彼はいう。

アスパロウホフ、ウィル・ブルイ(Will Bruey)、ダニエル・マーシャル(Daniel Marshall)の3人は、2020年にバルダを創業した(マーシャルは、2022年に同社を去っている)。ピッチブックによると、同社はこれまでにベンチャーキャピタルから5400万ドルを調達しており、評価額は1億4950万ドル(約226億円)に達する。

同社が目指すのは、自動製造装置を搭載した再利用可能な無人の人工衛星を製造し、宇宙空間で作った医薬品原料を地球の顧客に届けることだ。アスパロウホフは、最初のデモンストレーション・ミッションが成功したことで、軌道上の製造プラットフォームを使って顧客向けに製品の製造を開始する準備が整ったと考えている。彼によると、バルダの衛星は小ロットの製造にとどまらず、20万回分のキイトルーダの原料を一度に製造できるよう最適化することが可能だという。

「我々は、原子が宇宙空間と地球を行き来することに価値があることを示した最初の会社になるだろう」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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