スタートアップ

2024.03.25 11:30

Yコンビネータが3000億円調達で「スタートアップ投資」を強化へ

ギャリー・タン(Seb Daly/Web Summit via Getty Images)

新CEOの手腕が問われる大胆な試み

タンが主導する、このような資金調達プロセスの合理化は、彼が2023年1月にYCのプレジデント兼CEOに就任して以来行っている、広範な社内戦略の転換と一致する。タンは昨年、同社が2015年に立ち上げたレイトステージのためのファンドのContinuity fund(コンティニュイティファンド)を閉鎖した。
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このファンドは、別の投資チームよって運営され、成長段階に入ったYC出身の企業への投資を行っていたが、2005年にポール・グレアムが設立した頃のYCへの「原点回帰」を目指すタンは、同ファンドを突如閉鎖し、正社員の約20%に当たる17人を解雇した。この大胆で物議を醸す動きは、YCの取締役会やグループパートナーに好評だった一方、多くの批判を浴びていた。

コンティニュイティファンドは、外部から7億ドルと10億ドルを調達した後に、YC出身のスタートアップだけでなく、YCとつながりのない企業にも投資していた。

タンが率いるYCは、新たなファンドを通じてこのようなフォローオン投資を継続する計画で、それに向けて最近、YC出身の企業の資金調達動向をよりよく追跡するための財務ソフトウェアに取り組んでいる。同社のグループパートナーのハージ・タガーは2月のフォーブスの取材に、このソフトウェアが予算立てや準備に役立っていると述べ「新たな目標は、プロラタ(ベンチャーキャピタルが投資をする際の株価算定)をより体系的に、より頻繁に行うようにすることだ」と語っていた。
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トップラインで20億ドル超の資金調達は、YCが一度に調達した額としては過去最大となる。タンが一挙にこの額かあるいはそれ以上を調達できるかどうかは、投資家が彼が率いるYCを信頼するかどうかの大きな試金石になりそうだ。

しかし、ある関係筋によるとYCは、同社のバッチへの早期アクセスを熱望する投資家探しにさほど苦労はしない見通しだという。「彼らを取り巻くエコノミクスは、今とても良い状況にある」とその人物は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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