ソニー、PS VR2の生産休止か VR市場の将来に暗雲

安井克至
VRの広い普及につながる大きなブレークスルーは、これまで一度もなかった。VRヘッドセットは画質の向上が進み、コードレス型の製品も多く登場するようになった。『Half-Life: Alyx』や、大手ゲームメディアのIGNが最近、珍しい10点満点をつけた『Asgard's Wrath II』など、高い評価を受けたVRゲームも登場した。だが、どれもVRの普及にはつながらなかった。2016年の初代「Oculus Rift」発売から8年が経過し、さまざまな技術的進歩があったにもかかわらず、いまだにこの状態が続いているようでは、テクノロジー企業各社が疑問を抱くのも無理はない。VRに対するこれほど多額の投資は、今後も続けるべきなのだろうか?──と。

ソニーはその答えを出しつつあるのかもしれない。PS VR2の売れ行きが初代よりも悪いのであれば、なぜそこまでの努力をしてまで、ライバルの任天堂やマイクロソフトが避けてきたVRヘッドセット分野を追求し続ける必要があるのだろうか。VR製品は、従来のコンソール・PC向けゲームよりも質が低いものばかりのゲームソフトを、かさばる端末を使ってやや疲れる方法で遊ぶものだという点は、昔も今も変わらない。大型ゲームの発売ペースが遅く、端末の価格が高ければ、VRヘッドセットに対する購入意欲はさらに低下する。200万人がPS VR2を購入したとしても、そうした人々の所有ゲーム本数とプレイ時間は、200万人のPS5所有者よりも大幅に少ないことは間違いないだろう。

ソニーがVR市場に長くとどまるとは思えないし、PS  VR2の現状を踏まえるとPS VR3の開発は賢明ではないと思われるが、ソニーが実際にどのような決断をするのか見守りたい。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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