PlayStationはソフトの販路拡大を SIE元トップ、開発費肥大に警告

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2019年にソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)ワールドワイド・スタジオの最高経営責任者(CEO)を辞任したショーン・レイデンについて、私は常々その率直さを高く評価していた。そのレイデンがこのたび、ソニーのPlayStation事業を含むさまざまなことについて、これまでにないほど率直な見解を示した。

レイデンはゲーム情報サイト「GamesBeat」が行ったインタビューで、AAA(トリプルエー)ゲーム開発費の問題について触れている。AAAゲームをめぐっては最近、開発費が肥大を続けることで持続不可能になりつつあるとの見方が広まっており、PSもこうした問題を抱えている。

ゲーム開発費が以前よりもはるかに高くなった今、ソフトがどれだけ多く売れても、PS4や5の限られたエコシステムの中ではコストを十分に回収できない。この問題は、時間の経過とともに拡大している。レイデンは次のように語っている。

「2億5000万ドル(約370億円)かけてゲームを開発するのであれば、それがたとえ10%の売り上げ増加にしかつながらないとしても、できるだけ多くの人に販売すべきだ。PS1にまでさかのぼり、そこから積み重ねてきたすべてのコンソール(家庭用ゲーム機)の世界的なインストールベースを考えると、どの時点であっても、コンソールの累積数が2億5000万台を超えることは絶対ない。金額は時間とともに増加した。だが、同じ人々からより多くのお金を取っているだけだ」

レイデンは一方で、『HELLDIVERS 2』はPSとPCで同時リリースされたことで機運を劇的に高め、ヒットにつながったと指摘した。ただし、ソニーは他の基本プレイ無料マルチプレイゲームについてはPS・PC同時リリースを約束しているものの、大作ゲームについては、PS向け発売のかなり後にPC版を発売するという現在の方針を維持したいようだ。また、Xboxはこれまで独占していた大作ゲームをPS向けにも発売するというアイデアを試し始めているが、一方のPS側はXbox向けに自社の大作ゲームを出す意向はまったくないようだ。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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