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2024.03.15 09:15

被災地の復興に「企業版ふるさと納税」で手がける地域再生の可能性

能登半島地震で甚大な被害を受けた「輪島朝市」。被災地では生活再建が急がれるが、復興への道が模索されている(Getty Images)

小坪:そうなんです。半年や1年後に仕事を再開できる環境が整ったとしても、その間、何もできなかった職人さんがすぐに現場に戻れるのか。後継者のなり手がすぐに見つからないこともあるかもしれない。そうすると復活までの道のりは大変だと思います。 
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クレイ:そう考えると、企業版ふるさと納税の制度の強みが出せるのは、まさにこれからではないでしょうか。 
 
小坪:そう思います。ある省庁の人と、こういう話になりました。「企業版ふるさと納税の良いところは、自治体が守らなければならない公平性という絶対的ルールを突破しやすい」と。 

役場が何か事業を行うとき、原資が税金である以上、住民に対して公平で納得感のある説明が求められる。でも企業版ふるさと納税は企業の意向を反映しやすいんですね。企業からは、この事業に賛同するので1億円出します、と条件付きで寄付をしてもらえる。

だから例えば「能登の伝統的産業を復活させたい」と考える企業の方が、職人さんたちの工房や街並み再建の事業に寄付するとか、漁港の整備事業に寄付をすることで、本当の復興へとつながると思うんですよね。 
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ちなみに今回の地震で寄せられた企業版ふるさと納税の寄付状況は、石川県庁が公開している範囲で約10億円です。寄付額の公表を望まない企業もあるので実際にはそれ以上集まっていると思われます。各市町にもこれとは別に集まっているようです。 

クレイ:人が戻り、産業が復活しなければ地域を甦らせることはできません。被災地支援の選択肢として企業版ふるさと納税が広く認知されるといいですね。 


こつぼたくや◎株式会社カルティブ執行役員。企業版ふるさと納税コンサルタント。2009年、大手メーカーに技術職で入社。2017年、IT系企業で事業開発を担当。2019年9月、カルティブへ。2020年4月よりサービスを開始した企業版ふるさと納税を活用した地域課題解決プラットフォーム「river」を立ち上げる​​。

2021年6月、奈良県企業版ふるさと納税連絡協議会アドバイザー。2022年9月、経済産業省参与として大臣官房臨時専門アドバイザーに。カルティブでは、5月8日にオンライン開催の震災支援セミナーを開く。(詳細はこちら

構成=児玉也一

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