現在は企業で働く人から「腕があったらいいし」とか「将来があるよ」「夢があるよね」と言われるという。シェフという職業が憧れられる職業になりつつある今だからこそ、奥野自身ももっとウェルビーイングを追求する必要がある、と考えるようになってきた。
だからTrattoria Tabuléの収益は、現場にすべて還元している。2人が共同代表をしているものの、現状そこからの給料は受け取らず、同店が成功すれば営業保証などの支払いを受けるかもしれない。「だから、2人の間では揉めない」と奥野は言い切る。
オーナーがいるレストランで、“利益はオーナーのフェラーリ購入資金に消える”という従来型の構造ではなく、100%現場に金銭の流れを提示しているのだ。
「何が使いすぎで何が足りてなくて、どうすればいいのか」をスタッフ皆が理解し、学べる環境を作らないと飲食業界の人材は育たない。 そして、大きな利益が出たら、そのプロフィットシェアをするようなシステムも構築できると、スタッフの士気も上がる。
ただ働くのではなく、自分で稼ぐという意識を共有し、責任感を持たせる。みなとみらいという飲食業にとっては難しいエリアでの挑戦はまだ始まったばかりだ。