食&酒

2024.02.22 12:00

トップシェフが「中東イタリアン」の新店。医者・弁護士・経営者ら150人が集まるサロン発

(左から)シェフの奥野義幸、米澤文雄


Trattoria Tabuléでは、レシピの開発など肝となる部分は奥野と米澤が監修しているが、現場はサロンメンバーから募ったスタッフが担当している。運営しやすいように料理も設計し、レシピも多店舗展開を視野に入れて共有しやすいものにしている。中東イタリアンを商標登録したのもその一環だ。
advertisement

Trattoria Tabuléのメニュー。ヨーグルトやスパイスなどを使い、ヘルシーだが味にリズムがある新しい体験を提供している

「商標を取ったことで、僕らしかできない料理になる。これが跳ねてくれれば、全国展開しやすい。手離れしやすいなって僕は思いました。元々、こういうレストランは手離れしづらいんですよ」(奥野)

奥野の「DepTH brianza」も米澤の「NO CODE」も、彼らがいないと成り立たない店だ。しかし、それでは飲食店の未来はないと米澤は断言する。
advertisement

「日本はオーナーシェフ、“誰々の店”というものが好まれる文化がある。店の親方にお客さまがつくけれど、それを脱却しないと飲食店の未来はないですよね。オーナーシェフが常に働いているのがいい店という構造をもうちょっと変えないといけない。オーナーシェフが持つ各々の店をやりながら新しい試みにも挑戦すると、無理がない経営体制が取れる」

現状のTrattoria Tabuléに関しても、まだ奥野と米澤についた顧客の来店が中心だ。ここでの挑戦が、今後の飲食店経営の形を作る試金石となる。

飲食業界の未来のために

飲食業界は離職率が高いが、その理由の一つには給料の問題がある。30歳前後になって結婚し、家族ができると生活が厳しくなってしまい、結果転職してしまう。特にサービススタッフにその例が多い。

現状を打破するには、売り上げを伸ばし従業員に還元しなければならない。そのために従来のビジネスモデルではない、新しい飲食店づくりのフォーマットが必要で、Trattoria Tabuléはその構築の場なのだ。
次ページ > 利益はオーナーのフェラーリではなく現場に流す

文=北本祐子 編集=田中友梨 撮影=小田光二

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事