さらに、労働者自身だって無力な進歩の犠牲者ではない。あまり効果的でない政府の再訓練プログラムに頼らずとも、中堅キャリアがスキル開発する機会は十分に存在する。政策立案者は、自ら未来を切り開く労働者の機知を信頼すべきだ。
フィナンシャル・タイムズ紙に掲載されたエッセイの著者は、提案されているAI税のモデルとして、国際的な最低法人税率に関する合意を引き合いに出しているが、国際的なAI税体制の実施にはそれ自体が問題を抱えている。各国間に税制や規制の競争があることは健全なのだ。「規制緩和へのチキンレース」の神話とは対照的に、タックスヘイブンは、高税国に規律を促し、政府が過剰に介入した場合に改革を促進する役割を果たす。
ドナルド・トランプが2017年に「減税・雇用法」に署名し、米国の法人税率を引き下げたことを考えてみてほしい。バイデン政権は、それを覆す機会があったにもかかわらず、これらのビジネス税制のほとんどを賢明にも維持した。このような論題には、表面的に見えるものよりもはるかに多くの合意があるのだ。
実際、ある技術を特別視して懲罰的な課税を行うのは不公平であり、厄介な前例となる。最近の論文で、私と共著者は、暗号通貨の次はAIが差別的な課税のターゲットになる可能性があると予測した。AI税制の提案が現在、主要メディアに登場していることから、この予測には先見の明があったように思われる。
イノベーターたちを犠牲者にするのではなく、政府関係者は開かれた競争的なグローバルビジネス環境を促進する政策を追求すべきだ。イノベーターたちは、仮定に基づいた罰を与えられるべきではなく、また国際的なカルテルのような合意を通じて税制選択の自由を奪われるべきでもない。破壊的なAI税ではなく、イノベーションこそが、繁栄を分かち合う最も確かな道なのだ。
(forbes.com 原文)