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全米で買い物代行サービスを展開するInstacartの「ショッパー」たち(Courtesy of Instacart)



このところ米国のテック業界で度々話題にのぼるのが、ウーバーなどの「オンデマンドサービス」での雇用者の法的扱い方だ。今年4月に2億2000万ドル(約271億円)の資金調達を実施したスタートアップ企業、Instacartもこの問題に直面している。

全米で1万人以上を雇用するInstacartは「ショッパー」たちが、顧客の代わりにスーパーでの買い物を代行するサービスを行っているが、その際に同社はショッパーたちが、棚の中から最も鮮度の高い商品を選ぶことを重視している。

サービス品質を向上する上で、ショッパーたちの教育が不可欠だ。しかし、法律的には「独立契約者(independent contractors)」である彼らに業務を指示することは法律上認められておらず、ショッパーから訴訟を起こされるケースも発生した。「正社員と同レベルで業務を管理するのであれば、健康保険や報酬についても正社員と同じ待遇を与えるべきだ」というのが彼らの主張だ。

そこで、Instacartは方針を転換し、6月22日から全てのショッパーに、「パート従業員になる選択肢を与える」と発表した。この決定は、従業員の待遇改善という社会道徳上の観点から行われたものではない。「従業員トレーニングの強化が目的だ。ショッパーたちの技量を向上することで、常に一定品質の買い物体験をユーザーに提供できるようになる」とCEOのApoorva Mehtaは話す。

Mehtaは声明の中で次のように述べている。「フルーツや卵などは慎重な品定めが必要だ。このため、我々はショッパーたちを監督し、トレーニングを行いたいと考えているが、そのためにはショッパーを従業員にする必要がある」

パート従業員になると、週に20~30時間稼働することになるが、上限は30時間に設定されている。Instacartの広報担当、Andrea Saulは「勤務時間が週30時間未満の従業員に対して、会社は健康保険を提供する義務を負わない」と述べている。

Instacartにとって今回の措置は、大きな負担になる。福利厚生には、失業保険や社会保険、高齢者医療保険などが含まれる。同社の利益は圧縮されるが「顧客に信頼を提供し、ロイヤルユーザーが増えることを期待している」とMehtaはBloombergのインタビューに答えている。

ボストンで実施したパイロットプログラムでは、インストア・ショッパーの75%がパート従業になることを希望した。ボストンでは200人、シカゴでは100人がパート従業員になることを選んだ。


オンデマンド・デリバリーを提供する企業は、サービス品質の管理と、従業員に与える自由度のバランスを取ることに苦慮してきた。UberやLyft、Handy、Postmatesといったスタートアップ企業は、業務の大半を独立契約者たちが担っているため、業務中の服装や顧客への対応の仕方について、企業側が指示できる度合に限度があった。

顧客が見知らぬ人の車に乗ったり、会ったこともない清掃員を家に招き入れるようなサービスでは、顧客から信頼を得ることが重要であり、従業員のトレーニングが不可欠だ。顧客の不安を払拭するために、企業はこれまでブランディングに力を入れてきた。

「我々のような業種において、ブランド力を強化することは特に重要だ」と、オンデマンドのバレットパーキング(自分の車を駐車サービス担当者に預け、駐車を代行してもらうサービス)を提供するLuxe社のCEOのCurtis Leeは、11月のフォーブスの取材に応えている。
「我々は顧客にとって大切な資産である車の鍵を預かるのだ。顧客の安心と信頼を勝ち取るために、駐車係のトレーニングや、身なりの指導など、あらゆることを行っている」

一方で、企業によっては、従業員のトレーニングが必要な事態が生じても、ほとんど実施していないケースもある。Uberの場合、運転手に行っているトレーニングと言えば、アプリの使い方を説明する13分間の動画を見せることのみだ。昨年、乗客と運転手がルートについて口論になり、激高した運転手が乗客をハンマーで殴る事件が起きたが、その後もUberのトレーニング内容は変わっていない。

文 = エレン・ヒュエット(Forbes)/ 編集=上田裕資

 

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