現在はルクセンブルクを拠点とするFREYRは、現地時間12月15日の株主総会で、米国デラウェア州への移転を株主の過半数から承認されたと発表した。同社は以前、米国に拠点を移す意向を8月に発表し、その目的を「世界的な税制度の展開や、電池メーカーに対する米国の優遇措置によりよく対応するため」と説明していた。また、この移転は企業構造の簡素化と、財務報告要件の合理化にもつながるという。
FREYRの共同創業者で執行会長のトム・エイナー・ジェンセン(Tom Einar Jensen)は、「今回の承認は、以前に発表した株主への利益還元を実現する道を開くことになる」と述べている。
北欧神話の豊穣の神にちなんで命名されたFREYRは現在、アトランタの南西に位置するジョージア州コウェタ郡に、「ギガ・アメリカ」と呼ばれる25億ドル(約3600億円)のバッテリー工場を建設し、定置型エネルギー貯蔵システムや電気自動車(EV)向けのバッテリー・セルを生産しようとしている。同社は、ノルウェーにも「ギガ・アークティック」と呼ばれる工場を建設中だが、米国工場を優先し、ノルウェー工場への投資を最小限に抑えると11月に発表していた。
超党派のインフラ法とインフレ抑制法(IRA)によって生み出された米国内のクリーン・エネルギー・プロジェクトとバッテリー製造向けの補助金は、過去2年間にゼネラルモーターズやフォード、テスラ、そしてトヨタ、ホンダ、ヒョンデなどの、総額で数十億ドル規模となるバッテリー工場を米国で新たに建設するという発表に拍車をかけた。
さらに、税額控除の対象となるEV用バッテリーの製造に使用される材料は、中国やロシアからではなく、北米で調達しなければならないという新たな規則の導入によって、Redwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)やSila(シラ)のような企業にサプライヤーとしての機会が開かれた。
FREYRは今年3月、ノルウェーのモー・イ・ラーナに小規模な工場ラインを開設し、半固体リチウムイオン電池の製造を開始した。同社は、ジョージア工場が数年後に稼働を開始すれば、年間34ギガワット時の電池を生産できるようになると述べている。
すでにニューヨーク証券取引所に株式を上場しているFREYRは、バイデン政権がさまざまな産業から排出される気候温暖化炭素の削減につながる製造プログラムを強化して以来、米国に会社を移転した最初のバッテリーメーカーになろうとしている。
(forbes.com 原文)