大規模な窃盗団による銅ケーブルの盗難被害が増え、損保ジャパンでは保険金の支払い額が2020年度から2022年度にかけて4倍にも跳ね上がった。銅の価格高騰によるものだが、同時に銅の供給量も不足しているため、盗難被害に遭った太陽光発電施設では復旧もままならない。これは、電力不足という社会全体の問題も招くことになる。
そこで損保ジャパンは、業界初の試みとして、銅ケーブルの盗難に遭った顧客にアルミケーブルの使用を促すサービスを開始した。古川電工産業電線が開発製造しSFCCが販売する「らくらくアルミケーブルシステム」を顧客に紹介し、古河電工産業電線が施工業者へのコンサルティングを行う。
アルミケーブルは供給が安定している。銅ケーブルよりも軽量で柔らかく、運搬や施工がしやすいぶん作業人数も抑えられ、工事も短縮できる。アルミの導電率は銅の約半分だが質量が約3分の1なので、導電率が同じになるよう断面積を大きくしても、銅よりも軽くできる。そんなわけで、太陽光発電施設だけでなく、各地のビル建設などでも導入が進んでいる。
しかも、アルミは転売価格が安く転売数も少ないため、盗品をさばけば足が付きやすい。窃盗団にとってアルミケーブルは手を出しにくいものとなり、盗難防止に一役買うというわけだ。
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