家畜のアレが原料 液化バイオメタンで動くロケットエンジン

プレスリリースより

インターステラテクノロジズは、開発中の小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」に搭載する、家畜の糞尿から作ったバイオメタンを燃料とするロケットエンジン「COSMOS」の燃焼試験を成功させた。これは民間企業主体で開発されたロケットエンジンとしてはESA(欧州宇宙機関)に次ぐ世界で2例目となる。

北海道大樹町の北海道スペースポート「HOSPO」のインターステラテクノロジズ専用発射場「Launch Complex-0」にて行われた今回のエンジン燃焼器単体試験は、燃焼器の性能と耐久性を試すもので、10秒間の燃焼により「十分な性能を有していること」が確認された。使用されたのは60キロニュートン級の小型モデルだが、ここで得られた知見をもとに、130キロニュートン級の実機モデルの開発、製造の段階に進むとのことだ。

COSMOSは、推進剤に液化バイオメタン、酸化剤に液体酸素を使用する液体ロケットエンジン。ガス圧でターボポンプを回し、燃焼器に推進剤を高圧で送り込む「ガスジェネレーターサイクル」という方式だ。また、SpaceXも使っているピントル型インジェクターを採用し、部品点数を従来型エンジンの数十分の1に減らすことができた。エンジンはロケットの製造コストの半分を占めるということなので、全体的に大幅なコストダウンが期待できる。
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COSMOSという名前は、コスモスが大樹町の花であることと、ピントル型インジェクターの噴射形状がコスモスの花びらに似ていることから付けられた。第1段にCOSMOSエンジン9基を搭載するZEROは全長32メートルで、低軌道に800キログラム、太陽同期軌道に250キログラムの打ち上げ能力を備え、アジア、オセアニア諸国の衛星事業者にとって利便性の高い低コストな宇宙輸送サービスを目指している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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