フェイスブックとメッセンジャーの個人的な通話やチャットは、今後デフォルトで完全に暗号化されるという。メタのメッセンジャープラットフォームの責任者のロレダナ・クリサンは、暗号化の導入によって、今後は個人の通話やメッセージの内容をメタの社員を含む第三者が確認することが完全に不可能になると述べた。
暗号化の機能は、ただちに利用可能になるが、すべてのメッセンジャーのやりとりを暗号化するためには「しばらく時間が必要だ」とクリサンは述べている。メッセンジャーは、2016年以来、ユーザーが暗号化されたメッセージにオプトインすることを許可しているが、デフォルトの暗号化の提供は、時間をかけて行われたため数年が必要だったという。
クリサンによると今回のアップデートには、人気の通信アプリSignal(シグナル)で使用されているプロトコルと、メタが独自に開発した暗号化プロトコルを採用した「ゼロから再構築された機能」が必要だったという。メタは、暗号化の導入がユーザーの安全を脅かすものにならないよう、外部の専門家や政府、人権団体と協力したとクリサンは付け加えた。
「当社は、メッセンジャーの再構築に数年を費やした後、すべての個人的な通話とメッセージにデフォルトでエンドツーエンドの暗号化を行うようアプリを更新した。これを実現したチームに大きな祝福を送りたい」と、メタのマーク・ザッカーバーグCEOはフェイスブックの投稿で述べた。
ザッカーバーグは2019年に、インスタグラムやワッツアップを含むメタのプラットフォーム全体にエンド・ツー・エンドの暗号化を導入する計画を発表した。彼は、ケンブリッジ・アナリティカによるデータ利用を筆頭に、同社が一連のスキャンダルに見舞われた後、プライバシーをより重視する方向性を打ち出した。
今回のアップデートにインスタグラムは含まれていないが、メタは間もなくインスタグラムにも暗号化を導入することを示唆している。同社は8月、メッセンジャーに暗号化を導入した直後に、インスタグラムにもこの機能を拡大すると述べていた。
プライバシー擁護団体は長年、プライバシー基準の強化を求めてきたが、今回のメタの動きは、誰もが歓迎するものではない。警察や政府は、暗号化によって犯罪者の監視や、犯罪行為の証拠の入手が困難になる可能性があると警告している。子どもの安全を擁護する人々も、暗号化によって児童の虐待者が違法行為を隠蔽できるようになると主張している。一方、アップルのようなハイテク大手は、暗号化を回避するためのバックドアや監視機能を導入しようとする政府の取り組みに反発している。
(forbes.com 原文)