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2023.12.05

ハーバード大、FBに関する研究打ち切りは「巨額寄付が理由」 元研究員が告発

Tada Images / Shutterstock.com

米ハーバード大学で偽情報に関する研究を行っていた元研究員が、米IT大手メタの創業者マーク・ザッカーバーグの慈善団体が同大に5億ドル(約740億円)の寄付を表明したことを受け、自身の研究が打ち切られたとして、当局に調査を求めている。大手IT企業の影響力や、SNSでの偽情報拡散防止の取り組みが抱える課題に関する議論を呼びそうだ。

この元研究員は、メディア操作とオンライン上の過激主義の専門家であるジョーン・ドノバン。非営利団体「ホイッスルブロワー・エイド」はドノバンの代理人として、248ページからなる文書を米教育省とマサチューセッツ州検事局に送付し、調査の開始を求める申し立てを行った。この申し立てについては、米紙ワシントン・ポストが最初に報じた。

申し立てによると、2018年から同大の公共政策大学院であるハーバード・ケネディ・スクールに勤めていたドノバンは、メディア操作を調査するプログラムを率いていたが、同プログラムは今年8月に閉鎖され、ドノバンの雇用も打ち切られた。

同大は2021年、ザッカーバーグと妻のプリシラ・チャンが設立した慈善団体「チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ」から人工知能(AI)研究費用として5億ドルの寄付を受け取った。ドノバンによれば、大学はその後、メタから同年に流出したコンテンツモデレーション慣行についての内部文書「フェイスブック文書」の研究に圧力をかけ始めた。

ドノバンは、同団体による寄付後、自分の研究に対する大学の扱いが「一夜にして変わった」と主張。「私たちの研究は、ハーバードの誇りから、恥へと変わった」と述べている。

一方、ハーバード・ケネディ・スクールの広報担当者ジェームズ・フランシス・スミスはフォーブスに送付した長文のコメントで、ドノバンの主張を強く否定。「ドノバンの主張は、当校がフェイスブックに研究のアプローチを指図させることを許したというものなど、不正確で根拠のないものばかりだ」と述べた。
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翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生

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