北米

2023.11.07

米国のカップヌードルが「電子レンジ」対応、紙容器の導入で

(C)NISSIN

日清食品の米国子会社は、カップヌードルのパッケージを電子レンジで温められる紙製の容器に切り替えると発表した。現状の発泡スチロール製の容器には、環境へのダメージや発がん性の可能性が指摘されている。

アメリカ日清(Nissin Foods USA)は10月26日、紙容器のカップヌードルを2024年初めに導入し、現在の発泡スチロール製容器や、プラスチック製のラップ(包装材)を廃止すると発表した。

新たな紙容器は40%が再生繊維で作られ、スリーブも100%再生紙が使用されるという。これにより、新たなカップヌードルは、電子レンジ対応になり、でき上がりまでの時間は2分15秒に短縮される。アメリカ日清は、この動きが2030年までにCO2排出量を30%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成するのに役立つと述べている。

しかし、同社の発表を受けて、一部の消費者はX(旧ツイッター)で「カップヌードルを電子レンジで温めてはいけないとは知らなかった」と投稿した。

発泡ポリスチレンから作られる発泡スチロールは、食品の包装や断熱材、輸送時の保護材などの多くの用途で用いられているが、世界保健機関(WHO)は、その成分に「発がん性がある可能性がある」と述べている。

アメリカ日清のマイケル・プライスCEOは声明で「今回のパッケージの刷新と紙容器の導入は、カップヌードルにとって重要なマイルストーンであり、環境への取り組みにおける重要な一歩だ」と述べた。

米国環境保護庁(EPA)によると、2018年に米国で生産された発泡スチロール容器は8万トンに達していたが、リサイクルされたのは5000トン未満だったという。

ニューヨーク州やワシントン州、メリーランド州などのいくつかの州は、環境リスクを理由に発泡ポリスチレン製の食品容器の使用を禁止、または禁止する法案を提出している。ニューヨーク州環境保全局の報告によると、これらの製品はリサイクルが難しく、生分解性も低いため、環境中に長期間残留するという。

世界水産物連盟(Global Seafood Alliance)によれば、発泡スチロール容器は細かく砕けるため、海洋生物に対する主要な脅威の1つとなっている。2023年にEnvironmental Advancesで発表された研究によると、発泡ポリスチレンは浜辺のプラスチックの23%、海洋表層水中の17.2%を占めている。しかし、アジアではより顕著で、海岸のプラスチックの40.4%、海洋表層水中のプラスチックの31%を占めている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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