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2023.07.16

ヴィーガン食品、3分の1に乳製品や卵 英調査

ML Robinson / Shutterstock.com

動物由来成分を一切口にしない「ヴィーガン」(完全菜食主義者)向け製品として英国で販売されている食品の3分の1以上に、動物性原材料が含まれていることが、新たな調査で明らかになった。重度のアレルギーのある人々に危険が及ぶと恐れがある。

ハンプシャー州とケント州の公的分析機関が最近行った調査によると、ヴィーガンと表示された61製品のうち、24製品(39%)から微量ながら卵または乳製品が検出された。また衝撃的なことに、対象製品の90%が、動物性原材料を含有していたり、食品表示・栄養成分表示が不正確であったりという問題があると判定された。

分析検査の対象となったのは、ヴィーガン向けとして販売されているチョコレートトリュフ、ピザ、ハンバーガー、マフィン、ラップサンドなど、代替乳製品13種と代替肉製品48種。

英公認取引基準協会(CTSI)のジョン・ヘリマン最高責任者は、ヴィーガン表示について「法的な定義がないため、実際には動物由来の製品が含まれていてもヴィーガンだと主張できてしまい、非倫理的な食品事業者に悪用されかねない」と指摘。「おそらく、より懸念されるのはこの曖昧さによって、牛乳や卵などの動物由来製品にアレルギーのある人々が大きな被害を被り、時に悲劇的な結果を生む恐れがあることだ。曖昧な表示が原因で命を落としてしまった人々がいることをわれわれは認識しており、だからこそ、法的にヴィーガン製品や植物由来食品と表示できるものとできないものを明確に区別するよう求めている」と述べた。

CTSIが行った世論調査では、ヴィーガン食品とは何かが法的に定義されていない現状にもかかわらず、回答者の大多数(76%)がヴィーガン表示のある商品には動物由来成分が含まれていないと考えていることが判明した。

英国と欧州連合(EU)は、グルテンの含有量については基準値を定めているが、動物由来成分については定めていない。英国では、6人に1人が牛乳や貝類にアレルギーがあり、人口の1.5%がヴィーガン生活を送っていることから、こうした人々が規制の欠如によって重大なリスクにさらされる恐れがある。
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編集=荻原藤緒

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