ディーゼルから水素エンジンへの載せ替え 低コストで脱炭素できる仕組みとは

プレスリリースより

水素で発電する燃料電池車はなかなか普及しないが、もっと手軽に水素で車を走らせる方法がある。既存のディーゼルエンジン車を改造して、燃料を軽油から水素に切り替える「水素コンバージョン」だ。これなら今の車が使えて、省資源と省コストと脱炭素がいっぺんにかなう。

高出力が求められる化石燃料を使用するエンジンを水素に対応させる水素コンバージョンの研究開発を進めるiLabo(アイラボ)は、空港で働くさまざまな車両の設計製造などを行うJALエアテックと、水素エンジンの普及による脱炭素化の早期実現に向けて業務提携を実施した。

水素エンジンの利点は、燃やしてもほぼ水しか出ないため直接的な二酸化炭素排出量削減に貢献するのはもちろんのこと、既存の車両の部品を交換するだけで水素化できること、なので車両の整備も普通の整備工場で対応でき、日本が培ってきた内燃機関に関する高度な技術が活かせること、トラックのみならず、船舶、建設重機、農業機械、発電機など、エンジンで動くものすべてに即座に対応できること、水素はいろいろなものから作れるので調達しやすく、エネルギー安全保障にもつながるなどなど数多い。

さらに、水素エンジンは、燃料電池車用に水素ステーションで販売されているような高純度なものでなくとも、化学工場から排出される安価な「副生水素」でも問題なく動く。現在は、塩を原料とする苛性ソーダの製造過程で大量に排出される副生水素に期待が高まっている。

iLaboは、2050年までに重量車2万台以上の水素コンバージョンを目指し、トラックから排出される二酸化炭素を累計104万トン削減するとしている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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