──読者はどんな人たちでしょう?
プレーヤーとして優秀で真面目で、あまり出世に関心がないものの、立場的に管理職やマネジャーになったような方々です。
とくに今回、印象的だったのは、看護師や介護士、学校教師から多くの感想をいただいたことでした。
現場での仕事に愛着や誇りがあり、サービス精神もあって面倒見がいい。だから、部下や若手にも手厚くフォローするのが当たり前になっているのでしょう。
それにより、自分の時間や休みを削ったりして、疲弊しているような人です。
そんな優しいプレイングマネジャーの方々が、うまく仮面をかぶって部下や若手をマネジメントするのに本書を役立てています。
さらには、以下、著書『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』が母国台湾でベストセラー1位となり、日本でも翻訳書が18万部突破の大ヒットとなったことで大注目されるジル・チャン氏に、サーバントリーダーシップと東アジアの文化の適合性について、また、内向型人間たちのカリスマ」ともいえる彼女自身とこのリーダーシップスキルの相性について聞いてみた。
チャン氏はハーバード大学ほかでリーダーシップ・プログラム修了。内向型のリーダーシップ開発にも貢献し、2018年には「ガールズ・イン・テック台湾40アンダー40」を受賞している。
「とくに管理職に昇進したばかりの内向的な人にとって、本書が紹介する「リーダーの仮面」をかぶることは効率的な方法論を提供するし、なによりも貴重なエネルギーを効果的に温存することにとても役立つと思います。
たとえば、明確で簡潔なコミュニケーションを通じて原則と目標を確立し、組織目標に優先順位をつけることで、リーダーとしての自身の精神的負担を最小限に抑えることができます。
一方で大切なのは、マネジメントの経験やチームへの理解が深まるにつれ、「ある程度の柔軟性」を保つことも重要になる、という点です。
例を挙げるなら、成果のみに依存することは、成長マインドセットを阻害し、インポスター・シンドローム(自分の能力や実績を、自分で認められない状態。 成功しても「自分の実力でうまくいったのではない、運が良かったか、周囲のサポートがあったからにすぎない」と考える傾向)を引き起こし、最終的にチーム内、組織内に保守的な雰囲気を助長することになりかねません。もっともそういった配慮は、ベテランマネージャーになってからそれぞれの裁量ですることができるようになるはずです」
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『リーダーの仮面 ── 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』(安藤広大著、ダイヤモンド社刊)
『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン著、神崎朗子訳、ダイヤモンド社刊)