ロッキード・マーチンやノースロップ・グラマンなどの防衛関連企業の株価は3年以上ぶりの上昇を記録し、iシェアーズ米国航空宇宙・防衛ETFは10月6日から6%上昇した。
ダグラス・ハーネッド率いるバーンスタインのアナリストは、11日の顧客向けメモで「歴史が示すように戦争株は地政学的ショックを受けてすぐに上昇するが、その後は失速し持続性はない」と主張した。防衛関連株が上昇を続けるためには、米国の国防予算が大幅に増加する必要があるとハーネッドは述べている。
ハーネッドは、過去の冷戦やイラク戦争のような長期的な争いが防衛株上昇の長期的な原動力となった例を挙げたが、現在の米議会の機能不全や、イスラエルとハマスの紛争の規模が比較的小さなものであることを考慮すると、今回の上昇は長続きしないと述べている。
ロシアがウクライナを攻撃した最初の週に、iシェアーズ防衛ETFはロッキード・マーチンとノースロップ・グラマンの約20%の上昇を背景に5%急騰したが、マクロ経済の悪化がその上昇を打ち消し、その後の6カ月で同セクターは20%近く下落した。
ロッキード・マーチンやノースロップ・グラマン、L3ハリス、レイセオン、ゼネラル・ダイナミクスなどの米国の大手防衛関連企業の時価総額の合計は、6日以降に284億ドル(約4兆2000億円)上昇した。
LPLファイナンシャルのストラテジストのジョージ・スミスは、投資家がハマスとイスラエルとの衝突に関する報道に注目する中、米国株式市場の広範な銘柄が上昇を見せたのは異例のことだと述べている。
スミスが、1941年までさかのぼる24の地政学的イベント後のS&P500のリターンを分析したところ、同指数はこのような出来事の後に、平均4.7%下落していたが、6週間後には元に戻っていた。「株式市場はは歴史的に、戦争などの地政学的ショックの間によく持ちこたえている」と彼は10日のメモで説明した。
イスラエルでの戦争が、直近の市場にもたらす最も具体的な影響は、おそらく金利に関するものになりそうだ。CMEグループがまとめた先物市場のデータによると、米連邦準備制度理事会(FRB)が来月も利上げを実施する確率は先週、23%から16%に低下していたが、中東情勢の緊張を受け、9日の市場では原油価格の上昇とそれにともなうインフレの悪化が懸念された。
(forbes.com 原文)