海の厄介者である浮遊ゴミ、とくにプラスチックは生態系に多大な悪影響を及ぼすために効率的な回収手段の開発が求められる。そのひとつに、オーストラリアのSeabin(シービン)が開発した海の浮遊ゴミを自動的に回収する装置「Seabin」がある(日本代理店は平泉洋行)。港の桟橋などに固定しておくと、ポンプで水面のゴミを吸い寄せてくれる。2ミリ以上のマイクロプラスチックを含め、1日平均3.9キログラムのゴミを回収できる能力があり、すでに世界39カ国で860台が活動している。
商船三井では、広島市営桟橋にSeabinを設置しているが、この実験は、そこに集められた廃プラスチックの再資源化の実現可能性を検証するというもの。目標は、出光興産の石油精製、石油化学装置で、「リニューアブル化学品」や「リニューアブル燃料油」を生産することだ。
つい先日、出光興産は福岡県の宗像市大島の浜辺で回収した海洋ゴミ約100キログラムから生成油約15リットルを作り、宗像市に寄贈している。Seabinの発表では、千葉県館山市の漁港に設置されたSeabinでは、3日間で3トンほどの海洋ゴミが回収されたそうなので、ごく単純計算だが、450リットルの生成油が作れることになる。これは大きい。もちろん、分別の手間や精製のコストによって、採算が取れない場合もあるはず。この実験で、そのあたりがハッキリする。よい結果を期待したい。
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