「ゴミ箱モデル」ならぬ「やお糠床モデル」
私が八尾市産業振興会議という審議会を担当している頃、会議の座長である近畿大学経営学部 山縣正幸教授に、経営学で「ゴミ箱モデル」という組織の意思決定モデルがあり、「八尾市の取り組みはまさにこのゴミ箱モデルのようだ」とご教示いただきました。
ゴミ箱=選択機会の中には、問題や、その問題の答え、参加者が同時ではなくランダムにポンポン入ってきて(イメージ図参考)、どんどん問題や答えがゴミ箱の中に入っていき溜まっていくのでゴミ箱の中はカオスな状態になっていきます。
要は、整理整頓されず、いつしかごみ箱の中に蓄積されていって偶然答えが見つかるという発想がゴミ箱モデルです。参加者が問題や答えをどんどん投入していき、蓄積されていく中でこれらが偶然結びつき、意思決定が行われるというものです。
これをまちづくり全体でやっていく。そのための器が「みせるばやお」なのです。まちづくりには、課題が本当にたくさんあります。一人でやる、一社でやるというよりは、同じような課題を認識している者同士で一緒にやるほうがインパクトも効果も大きくなります。
まちづくりとはそもそも何でしょうか?文献を探るとこう書かれています。
「地域社会に存在する資源を基礎として、多様な主体が連携・協力して身近な居住環境を漸進的に改善し、まちの活力と魅力を高め、生活の質を高めるための一連の持続的な活動」
そう、一人でやるものではなく、「多様な主体」=住民、行政、中小企業など様々なまちのプレイヤーが、「連携・協力して」=一緒にやりましょう!コラボしましょう!と言い合いながら、「まちの活力を高める」=住んでいる人や働いている人が生き生きとしている!想いが実現できている!という状況を持続的に創造していくことなのです。
ゴミ箱モデルというと認識がズレてしまうかもしれないので、八尾市では「やお糠床モデル」と言っています。野菜がおいしく育つ糠床にたとえて、野菜(=企業)がおいしく育つ(=課題が解決に向かう)ように、定期的にゆっくりかき混ぜるというものです。
激しくかき混ぜてもいけないし、何回もかき混ぜてもいけない。頃合いを見ながらゆっくり混ぜていく。そうすることで参加者の関係性が構築され、まちの課題が少しずつ解決に向かっていく。このとき大事なのが、ゆっくり混ぜる人です。
まちというフィールドはとても大きく、一人では到底追いつかないので、コミュニティを可視化し、その中で「ゆっくり混ぜる人」をたくさん作ったのが「みせるばやお」です。
ローマは一夜にしてならずとよく言ったもので、まちづくりはながーい期間をかけてゆっくりと良い変化を加えながら、一歩ずつ進むものだと実感しています。
あなたも地域でゆっくり混ぜることからまちづくりをはじめてみませんか?