しかし、食料自給率の低い日本では、今後安定した食料供給ができる保証はない。
今回は、食料自給率が低下することの問題点と私たちにできることを紹介する。
日本の食料自給率
農林水産省のホームページでは、日本の食料自給率はカロリーベースで38%と発表されている。食料自給率が高い国を見ると、カナダが255%、オーストラリアが233%、アメリカが131%となっている。これらの国は国土面積が日本よりも圧倒的に広く、広大な農地で大規模生産ができるため、食料自給率が高くなっているようだ。日本は他国と比べると、かなり低い水準となっていることがわかる。
また、国内で利用する野菜の種の約9割は外国産、化学肥料に関してはほとんどすべてを海外からの輸入に依存しているため、本当の自給率はもっと低いと言われている。
昔はもっと高かった
日本の食料自給率は、1965年には75%以上と今の倍ほどあった。
食料自給率が減少した背景には、外国産の安い食料が入ってきたり、食事が洋食化したりしたことがあるようだ。
日本の国土が狭いせいで洋食でよく用いられる肉や油を十分に生産できず、現在のような輸入に頼る形になってしまった。
輸入に頼ることの問題点
「日本は食料自給率が低いのが問題だ」という声をよく目にするが、実際に何が問題かを理解している方は少ないだろう。
日本は経済的には豊かなのだから、海外から輸入すれば大丈夫という考え方もある。輸入食品があれば自国の食物生産が減少したときも食品の供給が安定するため、一概に悪い状況であるとは言えない。
しかし、常に輸入を制限されるリスクが付きまとう。仮に今輸入されている食物が止められてしまえば、国内の食料価格は急上昇し、私たちが苦しむことは間違いない。
食料需要の増加
世界の人口は1973年時点では約39億人だったが、現在は79億人とこの50年で2倍以上に増加している。人口増加による食料需要の高まりに合わせて食料生産も増やしているが、世界の農地面積はあまり増えていない。
農業技術の発展により、単位当たりの収穫量を増加させることで増加する食料需要を何とか賄っている状態であるため、これからますます増える人口に対応できるかはわからない。
自国で食料を生産できることの価値が高まっていくだろう。