騒動の舞台となったのは、州最大都市ミネアポリスから南に車で1時間の郊外にある人口約1250人の町グッドヒュー。警察署長と署員7人は今月初めに辞意を表明し、23日までに全員が辞職した。
地元議会は、警察署長が23日の最終勤務日を迎える直前に、グッドヒュー郡保安官事務所と4万3548ドル(約640万円)の契約を締結。24日から年末まで、保安官代理が少なくとも1日6時間、市内をパトロールすることになった。
警察署丸ごとの突然の辞職について、市長は今年初めに警官の給与を5%引き上げ、署長にも1万3000ドル(約190万円)の昇給を行ったばかりであり、不意打ちだったと述べている。
AP通信によると警察署長は先だっての市議会で、市は警官を「時給22ドル(約3200円)」で雇用しようとしていると非難していた。一方、グッドヒュー郡保安官事務所は今月、フェイスブックへの投稿で、市内のパトロールを代行する保安官代理を時給32.51〜50.38ドル(約4800~7400円)で募集していると明かしている。
ミネソタ州の警官の平均年収は、2020年時点で7万1840ドル(約1050万円)だ。
ミネソタ公共ラジオによれば1年前にも、ミネソタ州モリスの警察署が署長と警官1人のみの体制に縮小したのち、140年以上の歴史に幕を下ろして解体され、市当局がスティーブン郡保安官事務所と契約を締結している。
ルイジアナ州のニューオーリンズ市警でも人材流出が止まらず、警官志望者数がこの数十年間で最低となった。犯罪アナリストのジェフ・アッシャーが最近発表した予測によると、同市の人口当たり警官数は年末までに1947年以来最も少なくなる見通しだ。
こうした傾向について米紙ニューヨーク・タイムズは、ミネアポリス近郊で警官が黒人男性ジョージ・フロイドさんを殺害した事件とそれに端を発した抗議デモによって、全国的な警官不足が起きていると報じた。専門家は、市民の監視が強まる中で、現職の警官や警官志望者が警察の職務について再考するようになっていると指摘している。
(forbes.com 原文)