アメフトでパーキンソン病リスク増加の可能性 米研究結果

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アメリカンフットボールをプレーすることでパーキンソン病のリスクが高まる可能性があるという研究結果が11日、発表された。ただし研究チームは、データからはアメフトとパーキンソン病の関連性が示されているものの、他の要因が寄与している可能性もあるとしている。

ボストン大学の研究チームが医学誌JAMAネットワークで発表した論文によると、アメフトのプレー経験がある男性729人を含むスポーツ経験者1875人を対象とした調査で、タックルを含む組織的フットボールをプレーしていた人は、プレーしていない人に比べてパーキンソン病の診断リスクが61%高かったことが分かった。

選手としてのキャリアが長く、より高度なレベルの競技でプレーした人は、ユースリーグや高校でしかプレーしなかった人に比べて、パーキンソン病の診断を受ける確率が3倍近く高かった。研究チームは、アメフト経験者の大多数は元アマチュア選手だと指摘している。アメフトを始めた年齢と、診断確率の上昇との間に関係性は認められなかった。

研究チームは、調査が対面での評価ではなくオンラインでの自己申告に基づき行われたことから、今回の研究は限定的であり、アメフト以外にも「多くの危険因子」が関与している可能性があると指摘した。

米国立神経疾患・脳卒中研究所によれば、現在パーキンソン病と診断されている米国人は50万人。ただ、未診断や、他の疾患と誤診されるケースが多いことから、実際の患者数は100万人に上るとも推定される。

ボストン大学の研究チームによると、米プロアメフトリーグNFL元選手の90%が、頻繁な脳震盪によって引き起こされる変性脳疾患である慢性外傷性脳症(CTE)の兆候を示している。CTEに苦しんだ元選手には、ジュニア・セウ、マイク・ウェブスター、ケン・ステイブラー、フランク・ギフォードらがいる。

アメフトで頻繁に起きる外傷性脳損傷は、これまでの研究でもパーキンソン病やアルツハイマー病、CTEなどの神経変性疾患の診断との関連性が指摘されてきた。NFLは脳震盪への対応方法を標準化し、東部への激しい打撃を減らすためにルールの変更も実施したが、それでも年間数百件の脳震盪が報告されている

パーキンソン病は、米国ではアルツハイマー病に次いで 2 番目に多い神経変性疾患であり、根本的な治療法はない。米国立神経疾患・脳卒中研究所によると、患者の5%~10%は50歳以上。主な対症療法は、歩行困難、動作障害、震え、記憶喪失、嗅覚喪失、うつ病などの症状を抑制することを目的としており、脳インプラントや薬が用いられる。

米国でアルツハイマー病の治療に費やされている額は年間約140億ドル(約2兆円)に上ると推定されている。最近、パーキンソン病の画期的な診断方法が見つかり、客観的で生物学的な方法でパーキンソン病をこの病気を見つけたり経過観察したりできるようになった。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛・編集=遠藤宗生

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