2023.08.07 08:30

搭乗券をSNSでシェアしてはいけない理由

Getty Images

しかし、フリークエント・フライヤーの認証情報などについては、悪質なハッキングの事例が多い。「ハッカーがマイレージポイントにアクセスできれば、そのポイントは必ずしも別のフライトに使う必要はないため、かなりの金額を得られる可能性があります」とジャルダンは言う。多くのウェブサイトでは、マイレージポイントをギフトカードと交換できるようになっており、いわばポイント泥棒の資金洗浄場所として機能しているという。いったん航空会社のマイレージ口座からマイレージポイントが抜き取られ、売却されると、それを取り戻すことはほぼ不可能となる。
advertisement

よくある副次的な詐欺手法としては、技術的ではなく心理的な手段で情報を盗み取る「ソーシャルエンジニアリング」を使ったものがある。「ハッカーは航空会社の人間のふりをして、メールか電話をし、『帰りのフライトを確定させるため』などといった口実で、クレジットカード情報を要求します」とジャルダンは言う。「あるいは逆に、旅行者のふりをして航空会社に電話をかけ、搭乗券のバーコードに記載されていた情報を提供し、旅行者の追加情報を収集することもありえます」

NordVPNの最近の調査では、米国人旅行者の85%近くが旅行中にハッキングされることを心配していると回答したているが、それでも多くの人は簡単に標的になってしまう。「ほとんどの人がパスワードを再利用しています」とジャルダンは言う。過去に起きた情報漏えい事件で膨大な人の情報が流出していることを考えれば、パスワードの再利用はそれだけでもサイバーセキュリティの大きな問題だ。「ハッカーは、過去にインターネット上に流出した名前やパスワードを集め、パスワードが再利用されたときにそれを特定できるのです」

ジャルダンによれば、サイバーセキュリティ管理の基本は、いくつかの常識的なルールに従うことで実現できる。「まず、バーコードの写真を共有しないこと。さらに、旅行中の写真を現地にいる間に共有しないこと。ステータスの更新で現在地を共有するのはやめる。写真をシェアするのは帰国してからにする。自分の旅行先と滞在時期、住所が知られると、自宅に空き巣に入らてしまいます」
advertisement

「これは多くの人が知らないサイバーセキュリティの死角のようなものです」とジャルダンは言う。「人々が意識していないからこそ、大きなダメージを与える可能性があるのです」

forbes.com 原文

翻訳=Akihito Mizukoshi・編集=遠藤宗生

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事