事業継承

2023.08.01 07:30

深刻な後継ぎ問題 先延ばしにすると何が起こるのか?

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ほかにも、こんなやり方がある。社長が後継者候補の子どもに自社の経営について相談をしてみるという方法だ。
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たとえば、「自社がM&Aを通じて他社を買うことについてどう思うか」と聞いてみる。子どもに会社を継ぐ気があるのであれば、重要な問題だと感じる機会になるはずだ。そのため、子どもの回答や雰囲気から、経営にどれだけ関心があるかの距離感を図るための「ものさし」として役に立つ。軽々に会社を買うなどの議論はすべきでないと考えるが、あくまで後継者の方と話をするためだとご理解いただきたい。

意思表示するタイミングを逃さない

誰もがご子息を後継者の筆頭に考える。しかし、時代は変わってきた。帝国データバンクの調査によれば、2022年の代表者の就任経緯について、「M&Aほか」の割合が2割を超えた。後継候補の属性で最も高かったのは「非同族」の36.1%だったという。つまり5社に1社は買収や出向などで代表が就き、3社に1社は親族での経営を脱却している。
 
最初に取り組むべきは親族内承継だが、今回取り上げた方法は一例であるので、信頼のできる専門家に、長期スパンで問題に取り組んでいくことをおすすめする。
 
今は会社の後を継ぐということが必ずしも家を守ったり、家族を幸せにしたりすることとイコールにならない。自由な選択肢を持つのが良いとされている中で、親も子もお互いの意思をはっきりと示したほうが後々に効いてくる。何事もタイミングは逸しないほうがいい。

文=安藤智之 取材協力=奥村茂之(M&A worksマネージャー)

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