「AIバブルの崩壊」が株式市場を下落させる不吉な警告

Photo Illustration by Omar Marques/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

JPモルガンのストラテジストは7月24日、人工知能(AI)の熱狂に煽られた株価の上昇はすぐに崩れ去る可能性があると警告し、AIはほとんどの企業の収益に実質的な恩恵をもたらしていないと指摘した。

同行のマルコ・コラノビッチが率いるストラテジストは、顧客向けメモの中で、歴史的な投資家のセンチメントの高まりにも関わらず、今後の株式市場の弱気な見通しを示している。

彼らは、直近のハイテク大手を中心とした株価の上昇が「AI主導のバブル」を示しており、このテクノロジーをめぐるハイプ(誇大宣伝)が、AIが実質的にもたらす収益の増大ではなく「基本的な質問に正解できないチャットボットの普及」によって引き起こされたと指摘した。

JPモルガンは、金利の上昇や個人貯蓄の減少、世界の地政学的対立の影響といった2022年の株式市場を過去10年で最悪の状況に追い込んだ要因の再評価が進むにつれて、市場が幅広く下落するだろうと予測した。

今年の年初からのS&P500種株価指数の20%近い上昇は、エヌビディアやアルファベット、マイクロソフトといったAIのトップ企業の総額1兆9000億ドル(約268兆円)もの時価総額の上昇による部分が大きい。

デビッド・コスティン率いるゴールドマン・サックスのアナリストは、21日のメモで、株価の上昇が狭い範囲に集中していることから、今後は残りの銘柄の間で、より広範な上昇が起こる可能性があると指摘した。アルファベットやアップル、アマゾン、マイクロソフト、メタ、エヌビディア、テスラを除く493銘柄のS&P 500構成銘柄のPER(株価収益率)が現在の17倍から19倍に上昇すれば、S&Pは史上最高値に上昇すると彼らは予想した。

JPモルガンのコラノビッチは、現状ではコモディティが過小評価されており、魅力的なエントリーポイントになっていると指摘した。今週は米連邦準備制度理事会(FRB)が26日に追加利上げの可否を明らかにし、アルファベットとマイクロソフトが25日午後に決算を発表するなど、経済関連の大きな動きが目白押しとなっている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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