AI

2023.07.19 08:00

米国政府が試みる「生成AI規制」のポイントとその限界

トップに立ちたいという欲望

しかし、ルースは「安全への執着がシリコンバレーでより広く浸透することを期待している」という彼らの主張には同意し、7月の「Inside the White-Hot Center of A.I. Doomerism(AIがもたらす終末論の最前線)」と題したNYTの記事の中で、アンソロピックの共同創業者のベン・マンの発言を引用した。

「私はこの分野の競争を歓迎しています。さまざまな企業が『うちのモデルが一番安全だ』と主張し、また別の会社が『いや、我々のモデルが一番安全だ』と言って欲しいのです」とマンは述べていた。

この言葉は、オープンAIやアンソロピック、グーグル、マイクロソフトなどのハイテク企業の根幹にある人間のモチベーションを浮き彫りにするものだ。それは、トップに立ちたいという欲望なのだ。世界一の富豪であるイーロン・マスクもまた、7月12日に新たな生成AIのスタートアップを立ち上げた。

FTCのような規制当局は、この競争の根本にある資本主義的な欲望を規制することが不可能であることを理解しているのだろうか? さらにいうと、世界の60億人以上の人々によって使用されるプラットフォーム上で動作するソフトウェアを一国で規制しても無意味なのだ。また、悪意を持つ者たちの中には、FTCが指摘するような風評被害よりも、さらに危険なものを生み出そうとする連中がいる。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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