2003年5月に経済産業省が公開した調査結果によると、宿泊業と旅行業の経済活動は、コロナ禍の沈静化や2022年10月に始まった全国旅行支援の効果などから、コロナ禍前を上回る水準まで回復を遂げているという。
そうした中、リクルートの観光に関する調査・研究機関「じゃらんリサーチセンター」は4月、全国1万5572人の国内宿泊旅行者を対象に「じゃらん宿泊旅行調査 2023」を実施。2022年度(2022年4月~2023年3月)の都道府県別の魅力度ランキングを発表した。
総合満足度ランキング
「総合満足度ランキング」では、1位大分県、2位鹿児島県、3位北海道となり、 九州の2県がトップ2を占める結果に。上位10道府県の総合満足度はいずれも9割前後に上り、僅差で並んだ。 1位の大分県は前年度(2021年度)の10位から大幅にランクアップ。コロナ禍を経て、宿にゆっくりと滞在する旅からアクティ ブな旅へと需要が変化する中、温泉に加え、まち歩きに関するコンテンツを多く擁する点が評価された。2位の鹿児島県は、前年度の圏外からランクインとなった。
地元ならではのおいしい食べ物が多かったランキング
続いて「地元ならではのおいしい食べ物が多かったランキング」では、1位石川県、2位北海道、3位富山県の順に。海鮮系の食べ物が有名な地域が上位を占めたが、肉類や麺類も人気だった。2年ぶりに1位に返り咲いた石川県では、「のどぐろ」「寿司」などが挙がる一方で、「金沢おでん」「能登牛」なども高評価を獲得した。2位の北海道では海鮮に加え、「ジンギスカン」「ラーメン」も人気で、じゃらんリサーチセンターは「北海道の3大グルメと言えそう」と評した。新たにランクインした中では、5位の香川県の「うどん」と、同率5位の福岡県の「ラーメン」、10位岩手県の 「冷麺」などが評判だった。
魅力のある特産品や土産物が多かったランキング
さらに、「魅力のある特産品や土産物が多かったランキング」では、今回で19回目となる調査開始以来、北海道が初の1位に。ミルクやじゃがいもを使用した「しょっぱい系」「甘い系」菓子類の豊富さに加え、「毛ガニ」などの海産物、ラーメンなど多岐にわたるラインアップが評価された。2位の沖縄県は「ちんすこう」「紅芋タルト」などの菓子類のほか、「シーサー」や沖縄の焼き物を意味する「やちむん」などの工芸品も人気。3位の石川県は海産物のほか、「日本酒」「金箔製品」「加賀茶」「九谷焼」などに魅力を感じる人が多かった。
じゃらんリサーチセンターの森戸 香奈子主席研究員は、グルメのランキングでは内容がバラエティに富む変化が見られると指摘。「数年前に見られた一点集中型のマーケティングから、総合力、つまりその地域のカルチャーが感じられるか、ブランド力が求められてきていると言えそうです」と解説した。
また、総合満足度ランキングで9位に入った沖縄県について触れ、「コロナ禍からの回復途上にある今年度の調査では、沖縄を訪れた方の『歓迎ムードを感じた』というコメントが印象的でした。地域全体でお客さまを受け入れる気持ちがきちんとお客さまにも伝わって、旅の満足度につながっていることが感じられます」と説明。ブランド力、そして地域全体で旅行者を迎え入れる姿勢を、国内の宿泊旅行ビジネス成功のキーワードとしてあげた。
経済産業省|アフターコロナの中で、どこまで回復したか -旅行・観光-
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20230512hitokoto.html
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