宇宙

2023.07.03 10:00

天文学界を沸かせた大発見「背景重力波」をわかりやすく解説

発見された背景重力波は、超大質量ブラックホールのペアが合体する数百万年前、互いに周回していたときに発生したものかもしれない(Getty Images)

発見された背景重力波は、超大質量ブラックホールのペアが合体する数百万年前、互いに周回していたときに発生したものかもしれない(Getty Images)

宇宙に「背景重力波」が存在する証拠を観測したという画期的発見のニュースは、みなさんもすでに耳にしたかもしれない。背景重力波は、2つの超大質量ブラックホールが、合体する前に短期間にわたり互いを周回した際に発生したものと考えられている。
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これは宇宙の成り立ちの解明につながる重大ニュースだとされるが、多くの人にとっては複雑すぎて、自分の生活にほとんど関係ないように思える。そう考えたくなるのも分かるが、これは本当に驚くべき発見であり、理解のために5分間費やす価値があるものだ。

本稿では、背景重力波をやさしい言葉で説明したい。

背景重力波とは何か

重力波とは、宇宙のどこかで激しい出来事が起きた時、それにより時空に生じるゆがみが波動として広まる現象だ。アルバート・アインシュタインが1916年、一般相対性理論でこの存在を予言した。一般相対性理論では、恒星や惑星など質量の大きい物体の存在によって時空がゆがめられ、曲げられた結果として重力が生じると仮定した。

同理論ではさらに、加速する巨大な物体が、宇宙のあらゆる方向に光速で放たれる波動を生み、時空を乱すことも予言していた。この理論は2016年、レーザー干渉計重力波天文台(LIGO)が重力波を検出したことで証明された。このとき検出されたのは、13億光年の彼方で衝突した2つのブラックホールから放出された重力波だった。
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ただ、これは波長の短い(周波数の高い)重力波だった。

今回見つかった「背景重力波」は、宇宙空間を満たしている、波長の長い(周波数の低い)重力波だ。2つの超大質量ブラックホールが互いを周回する「超大質量ブラックホール連星」から生み出されたものと考えられている。

ブラックホールとは、重力があまりに強いため、光さえも逃れることのできない領域だ。その中でも超大質量ブラックホールは、太陽の数十億倍、あるいは数百億倍の質量を持つ。

発見の経緯

天文学の魅力は、宇宙に関する知識そのものだけでなく、その発見方法にもある。今回、背景重力波が発見された経緯は、特に興味深いものだ。
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翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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