欧州

2023.06.27 11:30

世界最大の「3Dプリント」製校舎の建設進む、ウクライナ復興支援で

最大の課題は資金集めだ。当初、ウクライナでの学校再建プロジェクトの参加者はほぼ全員ボランティアだったが、ボニスは最終的に、お金を払って専門家を雇う必要があるとの判断にいたった。そこで、国連と組んでその認定を受けることにし、以後さらに多くの寄付を集められるようになったという。

このプロジェクトはイノベーティブなものでもある。3Dプリンターを使った建設は、現時点では理解も採用もそこまで進んでいないのが実情だ。にもかかわらず、ウクライナでのこの手法による学校建設は、地方と国の両レベルで大きな支持を得られたという。3Dプリンターを用いた建設は従来の方法よりも工期を短縮できるメリットがあるものの、世界では今後も規制や人材育成の面で課題に直面しそうだとボニスは予想している。

それでも、リビウでのプロジェクト開始から1年経つなか、ボニスは「あらゆる課題を克服できて非常に満足している」とも話す。「私たちはプリント工法による学校建設を始めて、国の復興への展望を開きました。(南部の)ヘルソンエリアではプリント工法による橋の建設も計画していて、キーウでは近々、8階建ての建物をプリンティングでつくりたいと考えています。日々、困難に直面していますが、この仕事、そしてウクライナのみなさんに、奮い立たせてもらっています」

ボニスは、変革を起こそうと熱望している人たちへこう助言している。「ビジョンがあるのなら、絶対にそれを手放してはいけない。アイデアがあるのなら、それを追求し、適応させ、必要なら方向を変えるようにする」

そしてこう続ける。「ウクライナはいま戦争の最中にあり、毎日人が死に、連日のようにロシアからミサイルやドローンによる攻撃を受けていますが、人々は驚くべき精神をもっています。彼らはイノベーティブでもあります。戦争が終わりしだい、ウクライナはきっと世界のリーダーの一国になり、今度は他国に力を貸す側になるでしょう」

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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