北米

2023.06.26

米マクドナルドで児童労働が横行、株主が人権監査を要求

Walter Cicchetti / Shutterstock.com

米国のマクドナルド店舗で児童労働が相次いで発覚した問題を受け、同社の株主グループが23日、人権慣行に関する第三者監査の実施を要求する書簡を取締役会に送った。米紙ワシントン・ポストが報じた。書簡にはイリノイ州財務官やニューヨーク市会計監査官ら30人余りの署名があるという。

米労働省はこれに先立ち、マクドナルドが児童労働規制に違反しているとして、15歳の子どもが揚げ油で火傷を負ったり、10歳の子どもが午前2時まで働いていたりした事例を公表していた。

マクドナルドでは2022年2月以降、全米各地のフランチャイズ加盟店で労働法違反が相次いで明るみに出ている。ケンタッキー州では約300人の子どもが違法に働いていたことが発覚。27店舗を経営するフランチャイズ加盟企業は、うち242人を違法に雇っていたとして罰金14万3566ドル(約2060万円)を科された。

ペンシルベニア州では、16歳未満の子どもたちが自動フライバスケットのない揚げ物調理器を使用していたほか、ピッツバーグの13店舗で101人もの未成年者が働いていたことが判明。カリフォルニア州のフランチャイズ加盟企業は、未成年者に「危険な仕事」をさせたなどとして罰金2万5000ドル(約360万円)の支払いに同意した。

株主グループは監査の実施に加え、フランチャイズ店における児童労働規制違反について、世界共通のブランド基準でゼロ・トレランス(不寛容)方針を適用することも求めている。マクドナルドは、本社レベルではこの基準に準拠しているものの、全米の店舗数の95%を占めるフランチャイズ店には適用されていない。

連邦労働法は、14歳未満の児童の就労を禁止している。また、14歳以上の未成年についても、就学日の労働は午前7時から午後7時まで、1日3時間以内とし、週末は1日当たり8時間以上の労働を禁止するなどの保護措置を設けている。

一連の報告を受け、マクドナルドの上級副社長で最高人事責任者のティファニー・ボイドは「マクドナルド・ブランド全体への経営陣の高い期待に反する」と述べ「全従業員が安全に働ける職場を育み、あらゆる労働法を順守するために必要なリソースを、確実にフランチャイズ加盟店に提供できるよう全力で取り組む」と約束した。

労働省の記録によればマクドナルドでは、2018年にニュージャージー州北部の11店舗で労働法違反が見つかったと連邦当局が発表して以降、数百人の未成年者が違法状態で就労していたことが明らかになっている。2020年にはノースカロライナ州の12店舗で35人の児童労働が発覚し、アイダホ州でも11店舗が違反を犯したとして民事制裁金5万ドル(約720万円)を科された。バイデン政権は今年、児童労働規制違反の取り締まり強化を表明したが、州レベルでは規制緩和の動きも相次いでいる。

アーカンソー州のサラ・ハッカビー・サンダース知事(共和党)は今年3月、16歳未満の雇用における年齢確認規則を緩和し、14歳と15歳に労働証明書を発行することを認める法律に署名。アイオワ州議会は先月、10代を対象に労働時間と就労場所の規制を緩和する法案を可決した。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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